有名病院 この診療科のイチ押し治療

【足の傷や痛み】下北沢病院・足病総合センター(東京都世田谷区)

下北沢病院・足病総合センターの菊池守院長
下北沢病院・足病総合センターの菊池守院長(C)日刊ゲンダイ
各科の専門医が集結 日本初の「足の病院」

 足に生じる病気は、「水虫」「巻き爪」「外反母趾」「糖尿病足病変(潰瘍や壊疽)」「変形性関節症」「下肢静脈瘤」「閉塞性動脈硬化症」などさまざま。その原因が、「爪」「皮膚」「筋肉」「骨」「血管」のどこかによって、診る診療科が違うのが一般的だ。

■米国では医科、歯科と並ぶ存在

 しかし、同院は「足を一つの臓器」としてとらえ、足の傷や痛みなどに精通する「形成外科」「血管外科」「整形外科」「糖尿病内科」「循環器内科」の専門医が集結して設立された国内初の「足の総合病院」。「糖尿病センター」と併せて2本柱で構成されている。菊池守院長が言う。

「米国では古くから『足病学』という分野があり、医科、歯科と並んで『足科(足病医)』が確立されています。日本でも診断から治療、手術、リハビリ、栄養指導に至るまで足の健康をトータルサポートできる施設が必要だと考え、実現させたのが当センターです」

 国内の高齢化に伴い、足疾患は確実に増えているという。それは、健康維持のためにウオーキングをする人が増えていることも関係する。糖尿病センターが併設されているのもそのため。糖尿病治療には運動療法が欠かせないが、合併症の神経障害があると足の感覚がなくなり、すぐに傷がつく。糖尿病と足のトラブルは切っても切れないのだ。

 糖尿病性腎症などで透析治療をしている患者の足の入院治療(血管のバイパス手術やカテーテル治療など)にも対応できるように、透析ベッドも3床完備している。

「整形外科領域で最も多いのは、足裏の痛みやしびれで困っている患者さんです。足の前足部や土踏まず、かかとが痛いなどです。そのような場合、扁平足障害が非常に多い。普通の施設では、痛み止めの薬や湿布などを使った対症療法で済ませてしまいますが、当センターではリハビリが介入して、その原因を治します」

 足裏の痛みやしびれがなぜ起きたのか、なぜ繰り返すのか、その大本を改善させるのが足病学の考えだ。「足の関節の動きが硬い」「筋肉が弱い」「足指が上手に使えていない」といったケースが多いので、その関節や筋肉の動きをよくする運動やストレッチをリハビリスタッフが指導する。

 必要であれば、連携する義肢装具士が患者の足型を取り、靴の中に挿入する医療用インソールを作製する場合もあるという。

■「足のことで困ったら気軽に相談してもらいたい」

「足にも耐用年数があって、それを知らずに健康のためにと1日5000歩、1万歩と歩いて、逆に膝や腰の障害を招いてしまう人も少なくありません。ですから、ある程度年をとったらリハビリなどで足のメンテナンスをした方がいいのです」

 同センターが診療対象とするのは主に膝から下の疾患で、座骨神経痛などで足に痛みやしびれが出る脊椎疾患の治療は行っていない。しかし、そのような場合でも歩行が悪くなるので、足に何らかのトラブルが隠れていることが多いという。

「歯のことで困ったら歯医者さんに行くように、足のことで困ったら何でも気軽に相談してもらいたいと思います」

 “足から健康を支えてゆく”が同院のモットーだ。

データ
 旧福原病院。2016年6月に「足と糖尿病の専門病院」としてオープン。
◆医師数=7人(整形外科医1人、形成外科医2人、血管外科1人、循環器内科医1人、糖尿病内科医1人、リウマチ科医1人)
◆月間初診患者数=平均500人
◆病床数=一般病床31床、回復期22床