病院は本日も大騒ぎ

足音で存在アピール 「女王様」看護師に医師も頭を下げる

 現在、総合病院に転属して20年になる看護師のマサコです。先日、短大時代の同級生と食事会を開いたとき、総合病院に勤務している看護師がこんな話をしていました。

 彼女が働いている病院には、陰で「女王様」と呼ばれている看護部長がいるそうです。看護師には、「看護部長」をはじめ、病院によっては「総師長」「看護師長」「副看護師長」「主任」といった肩書があります。「看護部長」は、病院の看護師では最高位に当たります。

 その病院の看護部長は、50代後半で院長よりも勤続年数が長く、30年ほどになるそうです。年収も1000万円には届かないものの、それに近いくらいもらっているともっぱら。独身なので貯金もたっぷりあり、年金も多い。看護師は再就職に困らない職種なので、定年が近くなっても雇用延長欲しさに勤務先の病院にこびたりしません。職務中に笑顔を一度も見せたことがないとウワサされ、その貫禄は堂に入ったものだそうです。

 いつもはぞんざいな態度の中堅医師までもが、廊下ですれ違うと頭を下げるほど。事務方も、女王様と話すときは作り笑顔を絶やさないとか。なにか弱みでも握られているのでしょう。

 そうした姿を見ている若い看護師は、「女王様に嫌われたら何をされるかわからない」と気軽に声もかけられないといいます。看護師は女の世界です。少しでも認めてもらいたい人は「部長さん、今日の洋服、すてきですね」などとヨイショするのですが、女王様は「あ、そう」と、蔑むような態度をとるのだそうです。

■おべんちゃらを言うと蔑まれる

 また、女王様は廊下を歩くときにわざと靴の音を響かせて存在をアピールするといいます。それに気づかず、看護師同士で無駄口を叩いていると、患者さんの前でも平気で「静かにしなさい!」と強い口調で叱責される。

 しかも女王様は、キャリアが長いだけでなく、仕事ができるから厄介だとか。たとえば、問題が多い入院患者さんのことで相談すると、担当の看護師に代わってその患者さんに「いい加減に態度を改めてくれないと、病院として考えがありますよ」とビシッと言う。そのため、ますます誰も逆らえないのだそうです。

 とくに同年齢の看護師たちにとって女王様は煙たい存在で、「女王様がナースセンターに姿を見せると空気がピンと張り詰める」と言っていました。友人にはお気の毒ですが、「同じ病院でなくてよかった」と心の底から思いました。