当事者たちが明かす「医療のウラ側」

詰まらせるのは喉だけじゃない お餅がもたらす意外な病気

お雑煮
お雑煮(C)日刊ゲンダイ
首都圏の40代開業医

 お正月に残ったお餅をいまも食べている人も多いだろうと思います。

 お餅というと、お年寄りが喉に詰まらせる事故がよく報じられますが、気をつけたいのは腸閉塞です。実は、お餅を腸に詰まらせる人は少なくないようです。

 2011年に発表された日本人の研究報告によると、2003年4月から7年半の間に長岡赤十字病院にお餅による腸閉塞で入院治療した14人を調べたところ、患者のすべてがお餅を噛まずに飲みこんでいて、腹痛や悪心などの症状が見られたそうです。

 14人は男性5人(平均年齢64歳)、女性9人(平均年齢65・1歳)で、うち10人はお腹の手術の経験者でした。

 治療は全員が絶飲食をしたうえで、輸液による治療を行い、経鼻胃管が4人、小腸にたまった腸液や食べ物を吸収して腸管内を減圧するイレウス管が4人いたそうです。

 いずれも緊急手術はしていません。食べられるようになるまで平均4.5日(2~6日)、入院期間は平均8.3日(2~17日)だったと報告しています。

 この報告はあくまでも入院治療した人ですから、お餅を腸に詰まらせる人はさらに多いと思います。

 海外からの観光客が増えるにつれ、お餅はもっとポピュラーな食べ物になるはずです。そのとき、お餅は喉だけでなく腸でも詰まるが、CTなどできちんと把握できれば、緊急手術は必要ないという、日本人研究者の報告が世界水準になるかもしれません。