受診までの「応急処置」

【胃もたれ】胃の中が空になるのを待つ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ムカムカする」「重い」などの不快感が表れる「胃もたれ」。原因は、胃に入った食べ物を胃酸と混ぜて十二指腸に送る胃の動き(ぜんどう運動)の低下だ。消化器病専門医で「山村クリニック」(東京都文京区)の山村進院長が言う。

「疲れ、寝不足、強いストレスなどで交感神経が優位になっていると胃腸の動きが悪くなります。食べ物が胃に停滞すると、胃酸が長く出過ぎてしまい不快感を催すのです。ピロリ菌(慢性胃炎)を持っている人も起こりやすい」

 胃酸の分泌が過剰になると、みぞおちの辺りがムカムカしたり、焼けるように感じたりする「胸焼け」の原因にもなる。お腹に力がかかるスポーツをやっていた人や、肥満の人に起こりやすい。腹圧が強いと、食道と胃の境目にある下部食道括約筋という筋肉が緩んでしまい、胃酸が逆流しやすくなるからだ。

「胃もたれや胸焼けが起きたら、とりあえず食事はせずに水分補給くらいにして、胃の中が空になるのを待つことです。市販の胃薬を選ぶなら、胃酸の分泌を抑える『H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)』がいいでしょう」

 間違っても飲んではいけないのは、痛み止めとして使われる「消炎鎮痛薬(エヌセイド)」。胃粘膜を荒らしてしまうので、余計に症状を悪化させてしまうという。

 また、緑茶、コーヒー、紅茶などに含まれる「カフェイン」も胃が悪いときにはよくないので、飲むのを控えた方がいい。

「カフェインは脳血管の収縮作用があるので頭痛にはいいのですが、一方で末梢血管の拡張作用があります。胃は胃酸から守るために体の血液を集めて消化するので、カフェインを取ると胃に行く血流量が減ってしまうのです。それにカフェインには胃酸の分泌を高進する作用もあります」

 胃酸は脂質やタンパク質を分解する役割をしているので、胃もたれや胸焼けが起こりやすい人は、脂っぽい物を食べ過ぎないことを心掛けた方がいいという。

「怖いのは食道がん。食べ物が食道に詰まる感じを胸焼けと思い込む人もいるので、その症状が1カ月も続くようなら早く受診するべきです」

 黒い大便(タール便)が出る人は、胃十二指腸潰瘍で出血している可能性がある。お腹が張り、食べるとすぐ嘔吐するような場合には胃がんの可能性がある。いずれにしても胃の弱い人は、定期的に胃の内視鏡検査を受けておこう。