「認知症」を知るための20週間

生活環境も大きく影響 医師が教える「ボケない食生活」

マグロの刺し身(トロ)なら1日3~5切れ程度
マグロの刺し身(トロ)なら1日3~5切れ程度(C)日刊ゲンダイ

 第2週の今回は、将来の認知症リスクを減らす食生活を紹介する。認知症の原因は、大半がアルツハイマー型認知症だ。これは遺伝因子のほかに生活環境が大きく影響するという。だから食事も大事な要素で、何を食べるかが重要になる。医師で医療ジャーナリストの森田豊氏に聞いた。

■1日1回の青魚

「1日1回以上、マグロやサバなどの青魚を含む魚介類を食べる人は、ほとんど食べない人に比べ、アルツハイマー型認知症のリスクが5分の1以下に低くなります。魚に含まれるEPAやDHAはコレステロールを下げますし、動脈硬化の予防効果もあります。生活習慣病にならないことは、認知症のリスクを減らすことにもつながりますからね」

 厚労省の推奨するDHAとEPAの1日の摂取量は1000ミリグラム。マグロの刺し身(トロ)なら3~5切れ程度で、「魚介類が苦手な人はサプリメントでも補えます」。

■カマンベールチーズ

「カマンベールチーズの白カビは、発酵されたミルクで作られています。このカビは、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドベータを取り除いてくれる働きがあると考えられています」

■ビタミンE含む野菜を取る

 ビタミンEを多く含むカボチャやモロヘイヤなどは、積極的に取り入れる。

「ビタミンEの摂取量が少ない人の危険度を100とすると、多い人のそれは30まで下がるといわれています。ビタミンC、βカロテンも効果的と考えられます」

■1日に中瓶1本のビール

「適度なお酒は認知症の予防になるという研究結果が出ています。ほとんど飲まない人の危険度を100とすると、週1回以上飲む人は68。ビールなら1週間で中瓶1~6本、1日にすれば1本程度が適量でしょう。もっともアルコール類の中では、ポリフェノールを含む赤ワインが特にいいという報告は多いです。フランスの大学の研究では、1日グラス3杯くらいのワインを飲んでいる人の危険リスクは、そうでない人の4分の1になったといいます。ただし、飲み過ぎはリスクを高めます。1年間で2回以上、酔い潰れる経験がある人は、そうでない人の10倍も認知症になる危険が高いのです」

■よく噛み、自炊する

「咀嚼することで脳の血流が多くなることは研究から分かっています。噛むという行為は脳の活性化につながるわけです。また、食べるときは複数の人と会話をしながらがベスト。孤食は認知症のリスクを高めます。一人暮らしで、家にこもりがちの人は、アルツハイマー型認知症の発症率が8倍高くなると報告されています。料理もなるべく自炊がいいですね。献立を考え、材料を切って、味付けする。頭を使いますし、立ち作業は有酸素運動なので脳を活性化させます」

 今日から始めよう。