受診までの「応急処置」

【寝違え】マッサージは逆効果 入浴は短時間で

 朝起きて、首を動かすと痛くて回らない。「寝違え」は、首周囲の靱帯や筋肉の急性炎症による痛みの総称で、「急性疼痛(とうつう)性頚部拘縮」と呼ばれることもある。山田記念病院・整形外科(東京都墨田区)の長谷川伸医師が言う。

「寝違えは、首に起きた肉離れのようなもので、筋肉が収縮している(力が入ってる)時に無理に引き伸ばされて生じることが多い。首の筋肉が微細損傷するのです。まず、原因になるようなことがなかったか考えてみてください」

 たとえば、寝転んで無理な角度でテレビや映画観賞をした、コタツでうたた寝をした、深酒や睡眠薬を飲んで長時間の睡眠をした(寝返りを打たない)など、同じ姿勢を続けたケース。または、車の後部座席にあるものを取ろうとして首を強くひねった、などの首を急に強くひねる動作をしたケースだ。

「時間差があって気づきにくいのは、長時間のパソコン作業です。運動不足で急に運動をして、翌日よりも2~3日たって筋肉痛が強く出るように、少し時間がたって起こる“遅発性筋肉痛”も寝違えの原因になります」

 さらに首の筋肉が凝っていて柔軟性が失われていると、睡眠中のちょっとした姿勢でも首に無理な力がかかりやすい。あまり繰り返すようなら、枕が合っていない可能性もあるという。

「いずれにしても原因として思い当たることがあり、痛む箇所が首に限局している場合、市販の痛み止め(消炎鎮痛薬)の飲み薬や湿布を貼って、しばらく様子をみていいでしょう。湿布は消炎鎮痛成分入りのものなら冷湿布でも温湿布でも、自分で気持ちいいと思う方でかまいません。寝違えであれば、2~3日のうちに痛みは軽減していくはずです」

 痛くても、できるだけ首にカラーは装着しない方がいい。固定してしまうと、血流が悪くなり、筋肉が硬くなるので治りを遅らせてしまうという。入浴は短時間で済ませるのがよい。動かせるようなら、あまり痛くない範囲でゆっくりと「首回し」や「肩回し」などのストレッチをしてもいい。ただし、マッサージは強く押すことで、痛めた筋肉の損傷をひどくさせる場合があるのでやめた方がいいという。

「注意するのは、思い当たる原因がなく、痛む箇所がはっきりしなかったり、腕にも痛みが放散したりする場合です。朝起きて首から肩にかけて痛むようなら、狭心症などの心疾患が疑われます。そのような痛みの場合は、早急に病院を受診することが大切です」