医者も知らない医学の新常識

ビタミンDがこじれた風邪を予防する

ビタミンDはキノコなどに多く含まれている
ビタミンDはキノコなどに多く含まれている(C)日刊ゲンダイ

「風邪は万病のもと」などと言われるのは、こじらせると気管支炎や肺炎の原因となり、高齢者や肺の持病を持つ人などでは、命の危険に結びつくこともあるからです。ただ、今のところそれを確実に予防するような良い方法は見つかっていません。

 ビタミンDは骨の健康のために必要な栄養素で、魚やキノコなどに多く含まれています。一種のホルモンとして作用している物質ですが、最近「気管支炎などの予防効果があるのでは」と注目されています。実はビタミンDには体の免疫を調節するような働きがあり、不足すると風邪をこじらせやすくなることも分かっています。

 それでは、ビタミンDをサプリメントで取ることにより、こじれた風邪を予防できるのでしょうか? 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に、その点についてこれまでの研究をまとめた論文が発表されています。

 それによると、ビタミンDが不足している人では、「サプリメントを取ることによりこじれた風邪が70%予防される」という結果が得られています。ビタミンDの不足がないとその効果は落ちますが、それでも25%の予防効果が確認されています。

 気管支炎や肺炎の予防にはビタミンDというのが、これからの常識になるかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。