当事者たちが明かす「医療のウラ側」

お酒のメリットデメリット

酒は百薬の長…?
酒は百薬の長…?(C)日刊ゲンダイ

 そろそろお花見シーズンです。お酒を楽しみにしている人も多いと思います。「適度な飲酒は体にいい」というのが一般的な認識ですが、果たして本当なのでしょうか? 私も患者さんによく聞かれるテーマです。お酒と病気についての研究はいまも盛んに行われているので紹介しましょう。

 最近、話題になったのは認知症の半分を占めるアルツハイマー病に、ビールやノンアルコール飲料に含まれるホップ由来の苦味成分である「イソα酸」が効果的との研究です。

 大手飲料メーカーのキリンと東大などの研究チームが発表しました。

 イソα酸が脳内の免疫細胞を活性化させて、アルツハイマー型認知症の原因物質といわれるアミロイドβを排除するというのです。イソα酸を含むエサを食べたアルツハイマー型のマウスの脳に炎症作用が緩和されているのが確認されたそうです。

 焼酎が血糖値を下げるとの論文は鹿児島大学の研究者が発表しています。6人のボランティアに病院食とともにビール、焼酎、水などを飲んでもらい、その後の血糖やインスリンの数値、睡眠中の脳波などを調べたものです。

 結果、食後1時間後の血糖値は焼酎が100㎎/dlに対して、水が140、ビールが180となったそうです。

 実験ではいずれの飲み物も1リットルという結構な量を短時間で飲まされていることから、現実的ではないとの批判もあるようです。

 大量の飲酒は肝臓などのがんリスクを上げることが知られています。ならば、少量の飲酒ならどうなのか? という研究報告もあります。英国医学雑誌に掲載された論文で、米国の医療従事者(男性4万7881人、女性8万8084人)を対象にした疫学データを分析したものです。結論から言うと、男性は30グラム未満、女性は15グラム未満だとがんリスクは上昇しなかったそうです。

 つまり、1日日本酒1合、ビール中ビン1本程度なら、ほとんど問題ないということのようです。