病院は本日も大騒ぎ

幽霊なんてと一笑に付されたが…

 看護師になってまだ5年目で、現在、関東圏の総合病院・入院棟に勤務しているよう子です。

 私たちは週に1~2回、夜勤があります。「夜勤が好き」という看護師はまずお目にかかりませんが、「夜勤は絶対に嫌。お金を出すから代わってほしい」という看護師は結構おります。

 友人の看護師は、病院に勤めて間もなく、先輩から幽霊が出るという話を聞いたことがあったそうです。先輩看護師はジョークのつもりで話したのでしょうが、実際にある体験をしたことから、余計に夜勤が嫌になったようなのです。信じてくれるかどうかわかりませんが、話しましょう。

 入院棟に“たまさん”という高齢のおばあちゃんが入院しておりました。足が悪く病棟を車椅子で移動している患者さんです。

 ある日、たまさんは体調不良でICU(集中治療室)に転室したのです。私の友人看護師はこの日が夜勤でした。

 午前2時、見回りの時間になり、病棟を見回りながら、たまさんが元いた病室にも入り、ベッドが空になっていることを確認しました。

 各病室を点検してから薄暗いホール(患者や見舞客の休憩室)に回ると、車椅子に乗っているたまさんの姿を見たというのです。

 確かにたまさんはICUにいるはず。勝手に出てきたのかと思ったそうです。

 たまさんには声もかけずに、確認のためにすぐICUに走りました。そしたら、たまさんはICUで亡くなっておりました。

 翌日になって、興奮気味にこの実体験を同僚の看護師に話していましたが、笑って誰も信じません。「ホールにいた患者さんは別人。見間違ったのよ」で、幽霊の話は終わりました。

 しかし、午前2時に患者さんが、ホールに1人でいるのかしら……。友人の看護師は、いまだに信じています。