あの話題の治療法 どうなった?

歯科医に聞く お手軽価格の市販のマウスピースは大丈夫?

これは医療用のマウスピース
これは医療用のマウスピース(提供写真)

 最近ネット通販で目立つ市販のマウスピース。「スポーツ用」「歯ぎしり防止用」「いびき防止用」など、用途別にさまざまな商品が売られている。その多くが数千円のお手軽価格であるため人気になっているが、果たして大丈夫なのか? 都内で開業している歯科医師に聞いた。

「市販のマウスピースはお湯で軟らかくし、自分の歯型に合わせて固めるタイプ。手軽ではありますが、素人が歯にピッタリと合ったマウスピースを作るのは難しい。うまく作らないと、特定の歯に圧力がかかって歯が動きます。結果的に歯並びや噛み合わせに悪影響を与えて、顎関節症になるなど歯をダメにすることにもなりかねません」

 そこまでいかなくても、市販のマウスピースだと自分で歯型がしっかり取れないため、歯科医で作るものと比較してフィット感に差があったり、市販のマウスピースはハサミで形を整えるため切り口が角張って境目に違和感を生じるケースもあるという。

「材質によっては口の中の粘膜を刺激することもありますし、虫歯やさし歯への配慮なしに作られたマウスピースを長時間使えば、状況が悪化することも考えられます」

 合わないスポーツ用のマウスピースを使っているせいで、十分に奥歯を噛み締めることができずに、運動能力を低下させてしまうこともある。

「こうしたリスクを考えれば、マウスピースは歯科医で作る方がベターだと思います。フィット感があるし、用途に応じて特徴のあるマウスピースを作ることもできます。例えば、睡眠時無呼吸症候群用なら、舌が喉奥に下がりにくいよう、下顎をやや前に出して受け口気味に作ることもできる。むろん、顎と舌の具合や無呼吸の程度によって、前への出し方も微妙に変えます。一部は保険で作ることもできます。睡眠時無呼吸症候群の治療用のマウスピースは耳鼻科の紹介状があれば保険適用で製作することもできます」

 費用をケチって体を悪くしては元も子もない。