受診までの「応急処置」

【爪がはがれた】浮いているなら医療用紙テープで固定

(C)日刊ゲンダイ

 中高年になると、老化現象で爪に縦線が出てくる。こういう爪は水分のバランスが悪く、弾力性も減るので、何かの拍子で爪が割れたり、はがれたりしやすい。爪がはがれたら、どういう対処をしたらいいのか。「池袋西口ふくろう皮膚科クリニック」(東京)の藤本智子院長が言う。

「爪が根元(爪母)まではがれてなく、爪が浮いている状態ならテープで固定してください。出血があればガーゼを当てて固定する。1日もすれば出血は止まります。その後はカーゼを取って、1日1回、泡のせっけんで洗ってテープだけで固定してください」

 テープは粘着力の弱い医療用の紙テープを使うのがいい。バンソウコウは粘着力が強く、交換しづらい上に爪がふやけたり、細菌が付着しやすい状態になるので使わない方がいいという。

「爪がはがれた直後やテープを交換する際に消毒液などを塗る必要はありません。使うと逆に治りを遅らせてしまいます。最初の1~2日はお風呂のお湯に患部をつけない方がいいでしょう」

 爪が伸びる長さは1日に0.1ミリ程度だが、加齢とともに遅くなる。テープで固定しておいて、はがれた爪の部分が押し出されてきたら引っかからない程度に少しずつ爪を切る。新しい爪ははがれた爪の下から伸びてくるので、ある程度まで伸びてきたら、はがれた前の爪は自然と取れるという。新しい爪が爪母から指先まで完全に伸びる期間は3~4カ月だ。

「爪を深く切り過ぎていることも、爪が反るのではがれる要因になります。爪を切るときは、指先の肉より短く切らずに、爪の角は直角になるように切ってください」

 では、爪が引っかかったりして、爪が割れた場合にはどうしたらいいか。

「爪が割れる人は、日頃から保湿を心がけてください。尿素が配合された保湿クリームを手と一緒に、爪にもよくすり込むといいでしょう。尿素は皮膚の角質をやわらかくする成分なので、爪の保湿にも有効です。爪の割れた部分にテープを貼る必要はありません。保湿クリームを塗って、水仕事をするときは手袋をしてください」

 皮膚科や形成外科を受診した方がいいのは、爪が根元まではがれた場合。爪を切り取る処置が必要になる。また、ぶつけたり、引っかかったりしてないのに爪が割れたり、はがれたりした場合。「扁平苔癬(たいせん)」「薬剤性の爪の変形」「乾癬」「爪水虫」「カンジダ症」などの他の病気の可能性があるという。