クスリと正しく付き合う

ジュースで薬を飲む場合に注意するべき3つのポイント

(C)日刊ゲンダイ

 薬と一緒に飲んではいけないもの、あるいは問題ないものとして、これまで、硬水や軟水、炭酸飲料、カフェインを含んだ飲料、アルコールを取り上げてきました。では、「ジュース」はどうでしょうか?

 薬との飲み合わせを考えたとき、ジュースで注意すべきは「糖分」「ミネラル」「酸性度」の3点です。糖分は直接薬の飲み合わせとは関係のないものですが、病気という意味においては恐ろしい場合もあります。糖尿病の患者さんにとってはもちろんですが、若く健康な人でもスポーツドリンクの大量摂取によって急性糖尿病になり、意識を失って運ばれてきた症例を経験したことがあります。

 また、「ミネラル」に関しては、カルシウムやマグネシウムと薬の飲み合わせについて別の回で説明したように、注意が必要な場合があります。スポーツドリンクや乳酸飲料などにはマグネシウムやカルシウムを多く含むものもありますので気を付けてください。

「酸性度」については炭酸水を取り上げた回で「問題ない」と述べました。ただ、飲み合わせには問題がなくても、飲みにくくなる薬があるのはご存じでしょうか。たとえば、苦味の強い抗生剤やてんかんの薬の中には苦味を抑えるコーティング加工が施されている製剤があります。そうした薬をジュース(中でもオレンジジュースやスポーツドリンクなどの酸味があるもの)で飲んだところ、コーティングが剥がれて余計に苦くなり、かえって飲みにくくなったという経験がある方もいらっしゃるでしょう。

 薬は多くの場合、継続して飲む必要があるものが多いため、飲みやすさは服薬コンプライアンスに大きく影響を与えます。ジュースも硬水や炭酸水と同程度に注意を払い、糖分摂取には十分注意しましょう。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。