病院は本日も大騒ぎ

急増する高齢者の入院 老人ホーム勤務でわかったこと

写真はイメージ
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 関東圏にある総合病院に勤務している看護師歴30年のフミコです。

 私は昨年から週に1日、伊豆半島にある特養老人ホームでアルバイトをしています。

 知人が施設長を務める老人ホームで、私の主な職務はスタッフの看護指導と、入居者の介護です。

 実は、勤務先の病院も年々、高齢者の入院患者が増えてきています。看護師として、こうした老人医療にどう対応したらいいのか、私自身の勉強も兼ねてアルバイトを決めたのです。

 病院の入院患者で認知症が進んでいる高齢者は、女性看護師の体をやたらと触りたがります。

 私は「ダメですよ」と、手を払いのけますが、相手は悪さをしているという罪の意識がありません。それを頭から拒否することが、患者にどのような影響を与えてしまうのか、疑問に思っていました。

 その意味では老人ホームでアルバイトをしていて、随分と勉強になりました。

■一般患者とは別の視点が必要

 高齢者が触りたがるのは、「まだ元気に生きたい」という前向きな気持ちの表れのようなのです。老人ホームの職員はそのことを尊重しながら、笑顔で上手に手を払いのけるように誘導しておりました。

 病院ではアルツハイマーや認知症患者に対し、他の患者とほぼ同様の対応をしています。私がそうでしたから。

 病院のベッドで排泄してしまう患者さんがおります。このような対処も看護師の職務ですが、つい、「またやったの!」と、顔をしかめ、声を荒らげてしまいます。とくに若い看護師なら鼻を押さえて露骨に顔をしかめ、冷たい対応をとります。

 でも看護師が怒り、不快感を見せる態度は、治療とは無関係です。むしろ患者さんに余計な動揺を与えてしまい、症状を進行させることになりかねません。

 高齢な入院患者の急増は、今までとは違った視点の看護の必要性を迫るものだと思います。