受診までの「応急処置」

【熱中症】意識がない場合は水分は無理に飲ませない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 熱中症を疑う症状は、軽度であれば「めまい」「立ちくらみ」「汗が止まらない」。中度では「頭痛」「吐き気」「体がだるい」といった症状が出る。重度になると「意識を失う」「けいれん」「呼びかけに対する返事がおかしい」「真っすぐ歩けない」などが起こる。気づいたら、どう対応するべきか。

 大事なポイントは、「意識がない」など重度の症状があったら、すぐに救急車を呼ぶこと。救急車が到着するまでにやることは、軽度や中度の応急処置と同じだ。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「まずは日陰など涼しい場所に避難させます。そして楽な姿勢を保ち、衣類、ベルト、ネクタイなどをゆるめて風通しをよくします。次に、氷のうなどで体を冷やしますが、なければ自販機で購入した冷たいペットボトルや缶ジュースなどでもいい。冷やす場所は首や脇の下、太ももの付け根など血流の多い場所です」

 このような処置を取ったら水分補給をさせる。大量に汗をかくと塩分などの電解質も失われるので、できればスポーツドリンクなどがいい。ただし、「意識がない」「声かけの反応がおかしい」場合には、水分は飲ませず救急車の到着を待った方がいいという。無理に飲まそうとすると、誤って水分が気道に流れ込む危険性があるからだ。

「もうひとつのポイントは、自力で水分を飲めるかどうかです。たとえ意識がしっかりしていても、水分を『飲めない』『むせる』『吐いてしまう』場合には口からの水分摂取は禁物。病院での点滴が必要です」

 これらの応急処置は、主に炎天下、屋外での発症を想定したケースだが、熱中症は屋内にいても起こる。気温が高くなくても湿度が高いと汗が蒸発しにくく、熱がこもりやすい。特に高齢者は汗をかきにくく、典型的な症状が出にくい。どうすればいいのか。

「夜中、寝ている間に汗をかいて脱水を起こしやすい。高齢者は、朝起きたときに元気がなければ熱中症の可能性があります。急激に容態が悪くなる恐れもあるので、疑いがあれば1時間に100~200㏄などと、時間と量を決めてこまめに水分補給をする。暑く感じなくても、クーラーなどで気温・湿度の管理をすることが重要です」

「かくれ脱水」の見極め方には「手の甲の皮膚を引っ張って離した後、3秒以内に戻らない」「親指を押して離した後、3秒以内に爪に赤みが戻らない」などがある。脱水のサインの目安になる。