成人してから中年期にかけて、体重増加に悩む人も多いはずです。俗にいう「中年太り」ですが、基礎代謝量や運動量の低下、ホルモンバランスなどさまざまな要因が関与していると思われます。
最近ではアンチエイジングならぬ「ヘルシーエイジング」という言葉があるそうです。無理な若返りを目指すよりは、年相応に健康的でいられるかどうか、そういうことに関心が向けられた概念と言えそうです。
そんな中、体重変化と健康への影響を検討した観察研究の論文が2017年7月18日付の「米国医師会誌」に掲載されました。成人初期(女性では18歳、男性では21歳)と、55歳時点での体重データを取得できた9万2837人の女性と2万5303人の男性が対象となりました。医療記録に基づき、体重が安定していた人(プラスマイナス2.5キロ)と、体重が増加(2.5~10キロ増加)した人を比較して、慢性疾患の発症率やヘルシーエイジングとの関連が検討されています。
この研究において、ヘルシーエイジングは「11種の慢性疾患や、主要な認知機能障害、身体機能障害のない状態」と定義されています。
その結果、成人初期から中年期にかけて、体重が安定していた人に比べて、体重が増加した人では糖尿病や高血圧、心臓病などの慢性疾患発症率が統計的にも有意に高いことが示されました。また、ヘルシーエイジングは安定した体重の人に比べて、体重が増加した女性で22%、男性で12%低下していることが示されました。
因果関係を決定づけるものではありませんが、やはり、適度な体重維持は健康面において重要な要素といえそうです。
役に立つオモシロ医学論文