貧乏になる人の習慣

米国富裕層2割は貧困層出身 共通項は「親が厳しい」こと

 自分はダメだったが、子どもを億万長者にしたければ厳しい親になることだ。

 日本は世界で2番目に億万長者が多い国になった。総資産100万米ドル(約1億1000万円)以上の富裕層は、前年から73万人も増えて282万人(クレディ・スイス=2016年リポート)。株価、為替、五輪の影響で、今後も増加するだろう。

 どうせ彼らの親は金持ちなんだろう……と諦めがちだが、実は米国の富裕層の2割は貧困層の出身で、さらに5割も中間層の出身だ。

 彼らには厳しい親がいたという共通点があった。例えば、学習障害のあったヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長は、学校でイジメられても、家では弁護士(決して裕福ではない)の父に逆に叱責された。元客室乗務員の母にも、「自分で帰れ」と家から5キロ離れた場所で車から降ろされたり、12歳の時に80キロ先の親戚の家にも自分で自転車で行けと試練を課せられたという。彼の異端児ぶり、ユニークなキャラは有名だが、成功要因の冒険心は母親の影響だ。

 ホリエモンこと堀江貴文の共働きの母も厳しかった。テストが100点は当たり前。90点だと怒られる。柔道を休むと家に入れてもらえない。授業参観に両親の姿はなく、ゲームもなく、パソコンは母にゴミ捨て場に捨てられたという。

 400人以上の富裕層と貧乏人を追跡した米国のトーマス・C・コーリー氏の調査結果では、6割以上が親に毎月2冊以上の歴史、科学、哲学等の本を読ませられ、その後、理解したかどうか質問されていた。

 しかし、最近は昔のように厳しくしつけをできない親も多い。そのため富裕層の間では全寮制のボーディングスクール(寄宿学校)に入学させるのが流行している。厳しいしつけと、規律・規則の徹底、そして何より礼節の行き届いた仲間との人脈を構築させるためだ。

 ジム・ロジャーズは、2人の娘を中国語、英語、マレー語、タミル語(インド)の4カ国語が公用語である学校に通わせるため、シンガポールに移住した。シンガポールはOECDの科学的応用力、読解力、数学的応用力でもトップレベルで、語学力と数学を勉強させるためだ。

 実は私もシンガポールに住んでいたが、英語はシングリッシュ(英語の語尾にラーをつける強いなまり)になり、なぜか? おつりの計算ができなくなって帰国した。

 私の父も柔道家で厳しく、食事中はいつも正座だった。平手打ちで叩かれ、よく口から血を流していたものだ。その忍耐が報われ、いつの日かミリオネアの仲間入りできるものと信じている。

柏木理佳

柏木理佳

1968年生まれ。生活経済ジャーナリスト。城西国際大学院国際アドミニストレーション研究科准教授。MBA(経営学修士)取得後、育児中に桜美林大学大学院にて社外取締役の監査・監督機能について博士号取得。香港、シンガポール、豪州、中国に滞在し、世界15カ国の人と働いた経験を持つ。著書は「デキる女にはウラがある」(あさ出版)など多数。