「高血圧」で治療を受けている患者数は1000万人以上(平成26年、厚生労働省調べ)、高血圧人口は4000万人以上とされています。なぜ、高血圧の治療や予防が重要かというと、合併症が問題となるからです。
高血圧の合併症リスクについて、今年のアメリカの大規模臨床試験(SPRINT試験)の結果から「血圧は低ければ低いほど好ましい(正常範囲で)」といわれるようになりました。「好ましい」というのは、「心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全など)が起きにくい」ということです。つまり、血圧を正常に保つことは、将来的な大病を予防するための投資ということなのです。
血圧は年齢とともに高くなりますし、一朝一夕に下げることはできません。
重要なのは、減塩、運動(体重減少)、喫煙や飲酒を控えめにするといった生活習慣の改善ですが、そう簡単ではありません。そのため、必要に応じて血圧を下げる薬=降圧剤を使う場合があるのです。
薬を服用している人もそうでない人も、まずお勧めしたいのが「自分で血圧を測定すること」です。自身の血圧を知らないことには、生活習慣の改善が血圧に影響があったのか、薬の効果があったのか確認できないからです。血圧の変化をきちんと把握し、数値が安定してくれば、降圧剤をやめたり、減らしたりすることが可能になってきます。
血圧測定は、降圧剤をムダなく、より効果的に使うことにつながるのです。
一口に降圧剤といっても、さまざまな種類があります。大きく分けて4種類で、カルシウム(Ca)拮抗薬、レニン―アンジオテンシン(RA)系阻害薬、利尿薬、β遮断薬になります。それぞれ作用が異なる薬なので、今は組み合わせて使われるケースも少なくありません。次回からさらに詳しくお話しします。
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