高血圧治療の最終的な目的は、心血管病の予防です。高血圧治療には「降圧剤」を使い、主に4種類が用いられていることを前回までにお話ししました。
①カルシウム拮抗薬(CCB)②レニン―アンジオテンシン系(RAS)阻害薬③利尿薬④β遮断薬の4種類で、症状に合わせて1種類または2種類以上を組み合わせて治療を行います。
それぞれ作用が違う薬なので、自己判断で勝手に中止してはいけません。しかし、血圧のコントロール次第で種類を減らしたり、やめることも可能です。
そのためにも、それぞれの降圧剤の作用の違いについて覚えておきましょう。
①カルシウム拮抗薬は、血管の筋肉を弛緩させて末梢での血の巡りをよくすることによって、血圧を下げます。臓器への血の巡りもよくなるため、臓器障害の合併症がある場合や、高齢者にも使いやすい薬です。
②レニン―アンジオテンシン系阻害薬には、「ARB阻害薬」と「ACE阻害薬」と呼ばれる2種類がありますが、共にアンジオテンシンⅡという血管収縮作用のある物質の働きを抑えることによって血管を広げ、血圧を下げます。心臓病や腎機能が悪い患者に積極的に使われ、CCBとの併用の相性も良いとされています。
③利尿薬は、尿の量を増やすことで体液量を減らし、血圧を下げます。利尿薬もたくさんの種類がありますが、減塩が進まない人やむくみがひどい人、腎臓が悪い人、血糖値が高い人によく使われます。CCBやRAS阻害薬と併用されることも多い薬です。
④β遮断薬は、心臓から押し出す血液量を下げることによって血圧を下げますが、他の3種類と比べると積極的に使われていないのが現状です。
簡単に説明しましたが、「血管の収縮」と「体液の量」が高血圧治療の作用点となります。すでに降圧剤を飲んでいる人は自分はどんな作用がある薬を飲んでいるのかを確認しておくのもいいでしょう。
クスリと正しく付き合う