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自覚症状がなくても 糖尿病“予備群”は対策が必要なの?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

Q 自覚症状がなくても「糖尿病予備群」は対策が必要ですか?  (50代男性)

 発症の前段階である「糖尿病予備群」なら、生活習慣の改善で元の健康な状態に戻ることは可能です。予備群のうちに対策を講じましょう。

 糖尿病は、ある段階までは痛くもかゆくもない、自覚症状がない疾患です。けれども放置すると確実に進行し、何らかの症状に気付いた時にはかなり悪化していることも珍しくありません。高血糖が続き動脈硬化が進んでいたとなると、それを元通りに戻すのはかなり大変。だから予備群のうちに生活習慣を改め、発症を抑えることが重要なのです。

 糖尿病は「食欲」という人間の欲と関連しています。ほかの病気と少し異なり、その自覚が重要です。好きな物を食べられなくなるのが嫌で、予備群と言われても、あるいは自覚症状があっても、病院に来ない人が多い。「欲」と闘わなければならないため、「見たくない、知りたくない」と思う人もいます。

 けれども、糖尿病は合併症を発症すると治療が非常に困難。合併症には網膜症、神経障害、腎症があり、そのほか脳梗塞、狭心症などもあります。認知症との関連も最近、報告されてきています。

 予備群と言われたら、まず糖尿病をよく知る。なぜ糖尿病になるのか、自分の体がどういう状態なのか。両親のどちらかが糖尿病の場合、発症リスクが高くなります。家系的に素因があるかも調べましょう。

 次にご自身のBMI(体格指数=体重キロ÷身長メートルの2乗)をチェック。肥満(25以上)と判断されたら、運動療法と食事療法で体重を落とさなければなりません。外食の回数、過度の飲酒、高カロリー食ばかり選んでいないか……。思い当たる人は食生活の改善を。

 運動でインスリンの働きが活性化し、筋肉が血中のブドウ糖を取り込んで血糖値を下げる効果も見られます。痩せ形で予備群と診断された人も同様に、食生活の見直しと運動が必要です。

 糖尿病の治療では低血糖を怖がる人がこれまで多かったのですが、それをカバーする薬も登場しています。医学は進んでいます。自覚症状がなくても予備群と言われたなら、病院で相談してください。

(沢田はしもと内科/橋本しをり院長)

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