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65歳以上で糖尿病になった人は治療しないほうがいい?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病を否定できない人たちが将来、全員糖尿病になるわけではありません。糖尿病になったとしても、合併症を起こす人はその一部にすぎません。高齢になると、糖尿病の合併症を起こす前に寿命が来てしまう場合も多く、若い人の糖尿病より治療の意味はさらに小さくなっていると思われます。

 そこで今回は、高齢になって初めて糖尿病と言われた人が、どれくらい合併症を起こすかについての研究結果を紹介しましょう。

 この研究は65歳以降に糖尿病を発症した人で、糖尿病のない人に比べて、その後10年間でどれほど心臓や脳の血管の病気を多く起こしているかを検討した台湾からの報告です。

 心臓や脳の疾患については糖尿病患者で8.9%、糖尿病でない人で5.8%と糖尿病の人の方が多いという結果ですが、死亡率で見ると45%と39%と、それほど大きな差があるわけではありません。糖尿病でない人も、高齢になれば10年間で4割近くの人は亡くなっています。

 さらに、糖尿病の人だけでの検討では、低血糖を起こす糖尿病の人は、起こさない糖尿病の人に比べて、2倍以上死亡率が高くなっています。低血糖は薬で治療をしている糖尿病患者で多く起こりますから、治療をしている糖尿病患者で一番死亡率が高いのかもしれません。

 高齢者では、糖尿病のない患者が一番長生きだというのは当然としても、治療をしている糖尿病の方が、治療をしていない糖尿病よりも寿命が短い可能性もあるのです。

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