ベストセラー名医の健康法

「がんを生きる」佐々木常雄氏は1日7000歩以上を目標に

佐々木常雄氏
佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 日々の生活で心がけているのは1日の歩数です。一般的に65歳以下の男性の平均歩数は1日8000歩といわれているので、7000~8000歩は歩くことを目標にしています。いまは携帯電話にも機能がついていますので、歩数計を装着しなくても手軽に歩数を確認することができるようになりました。

 1日にこれくらい歩けばがんを予防できるといった厳密なデータはないのですが、男性の場合、歩数が多い(8500歩以上)人は、少ない人(6000歩未満)に比べてがん死亡のリスクが約3分の1に減るという報告があります。また、肥満はがんリスクをアップさせることがわかっているので意識して「歩く」ことは大切だと考えています。

 私は2010年に狭心症で冠動脈バイパス手術を受け、2016年にはカテーテルで血管内にステントを留置する治療を行いました。ウオーキングはコレステロール値改善に有効ですし、心臓疾患の再発予防にもなると思っています。

 クルマ移動やデスクワークが続くなど、目標の歩数をクリアできない日もありますが、だからといって無理に歩くことはしません。「今日は足りなかったな」という場合は、翌日に散歩する時間を設けています。

 食事では、なるべく野菜を取るように心がけています。以前、直近1~2カ月間の血糖値を反映するHbA1cが一度だけ7%になってしまいました。6%以上になると糖尿病が疑われます。そこで、食事で急激に血糖をアップさせないためにもまずは野菜から食べるように意識しています。

 日本糖尿病学会と日本癌学会は、糖尿病でない人のリスクを1とした場合、糖尿病患者はすべてのがんの罹患リスクが1・2倍高くなると報告しています。糖尿病だけでなく、がんを予防する意味でも野菜を最初に食べることを続けるようになりました。いまは5%台で推移しています。

 身体活動、適正体重の維持、食生活は、がんの予防にとって重要な生活習慣です。これからも続けていきます。

▽佐々木常雄(都立駒込病院名誉院長)
 専門はがん化学療法・腫瘍内科学。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、1975年から都立駒込病院化学療法科に勤務し、08年から12年まで同院長を務める。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、「癌と化学療法」編集顧問。著書に「がんを生きる」(講談社現代新書)がある。

関連記事