米国の研究で7人に1人が…糖尿病は大気汚染が原因だった

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 汚れた空気の中で暮らすと糖尿病になる――。こんな研究結果が話題になっている。

 米ワシントン大学医学部のチームが退役軍人170万人を8年半にわたって追跡調査したところ、大気汚染と糖尿病のリスクには「密接な関連がある」ことが示されたという。

 チームの論文によると、2016年に全世界で新たに発症した糖尿病の14%にあたる320万症例が大気汚染に起因しているそうだ。7例に1例が大気汚染が原因ということになる。

 医学博士の左門新氏は「糖尿病の原因の7割は遺伝で2割が肥満。残りの1割が大気汚染という可能性もなくはない」と言う。

「これまで大気汚染物質が体内に入り、慢性的な炎症を起こす可能性が指摘されていました。今回の研究結果が正しければ、大気汚染による炎症で慢性の膵炎になり、インスリンの分泌が悪くなって血糖値が高まり、糖尿病を発症するのかもしれません。今後はWHOなどが本格的な調査をして対象者の汚染環境を1人ずつ調べたり、血中の炎症物質の割合などをしっかり把握することが重要です」

 マスクをかければ安全かというと、そうでもない。マスクと頬の隙間から汚染した空気が入り込むからだ。

「神経質になり過ぎる必要はありませんが、微細な汚染物質のPM2・5が発生したら、屋内に避難することを覚えておいたほうがいいでしょう。親が糖尿病にかかった人や肥満の人は大気汚染によって発症の確率が高まる危険性があります。検診で尿糖と血糖値、ヘモグロビンA1cなどを調べてもらってください」(左門新氏)

 健康のためにキレイな空気を吸って暮らしたい。

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