新型コロナの入院患者数に対し、対応する医師や看護師、病床数が逼迫している。全国的な「医療崩壊」も防ぐため、いま我々には何ができるのか? 「オンライン診療」もそのひとつだ。
◇ ◇ ◇
「4月13日からビデオ通話や電話による『オンライン診療』での“初診”が一時的に認められました。そこで当院では翌14日からオンライン診療で初診が受けられる体制を整え、初日に約20人の診療を行いました。場所柄、東京駅周辺のオフィスで働く会社員の患者さんが多く、年齢層は20代から50代くらいまでの広範囲にわたっています」
こう話すのは、八重洲ブックセンターに近接するビルにある「つなぐクリニックTOKYO」の担当者だ。
これまでオンライン診療は、「初診不可」「生活習慣病など一部の診療に限定」などの制限があったが、新型コロナの影響を受け、特例措置で規制が緩和されている。
同クリニックでも、緩和直後にスマホを使ったオンライン初診の受け付けを開始。「生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)」「花粉症」「禁煙」「睡眠障害」「その他内科」などの患者を診ている。
また、品川インターシティ内にある「品川イーストクリニック」は、「新型コロナウイルス感染症オンライン相談」(自費診療)を実施中。あくまで相談だが、「専門的な医療機関を受診した方がいいか」などを医師がアドバイスしてくれる。
さらに「紀尾井町レディースクリニック」では、妊婦のオンライン相談(10分500円・消費税別)を行っている。
では、具体的にはどういった方法でオンライン診療を受けられるのか?
オンライン診療を行っている病院・クリニックに直接アクセスする方法もあるが、より便利に診療科目などから選ぶ専用アプリも出ている。
国内最大級の診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」は、「App Store」と「Google Play」からダウンロードが可能。都道府県と診療科目から病院を選び、受診を希望する日にちと時間を指定。実際の診療時間はだいたい10分ほどで、会計はクレジットカードなどで完了。処方箋や薬は早いところでは翌日に届けられる。オンライン初診にあたって準備するものは、例えば「痛風」の場合は「服薬情報(お薬手帳または薬剤名称)」。さらに直近の血液検査の結果や診断書などを用意できればよりベターだ。
この「オンライン診療」については多くのメリットがある。院内感染の抑止、外出自粛の後押し、院内の混雑緩和だ。患者側についても待ち時間や通院の手間が省け、処方箋や薬は自宅に届けてもらえる。一石二鳥どころか、三鳥、四鳥のメリットがある。
■高齢世代は電話で処方箋
そうはいっても、「テレビ電話を使ったこともないし、やり方もわからない」という人は、「電話受診」がある。今回の特例措置で電話診療での処方箋の発行が認められた。ネットが苦手の高齢世代などは、電話での受診を積極的に考えてみたい。かかりつけ医に電話診療が可能かどうか聞いてみよう。
可能ならば、まずは診察券の番号などを伝えて予約する。折り返し病院の方から電話が来て、医師の「症状に変化はありませんか?」といった問診があり、「では、いつものお薬を出しますね」という流れになる。処方箋は病院から調剤薬局へファクスで送られ、あとは患者もしくは家族が薬局に薬を取りに行くだけだ。
このような我々の小さな変化が、日本の医療崩壊を防ぐことになる。