病の克服は患者に聞け

新型コロナ<3>「六本木のクラブは…」保健所の質問に辟易

実業家の渡辺一誠さん
実業家の渡辺一誠さん(提供写真)

 東京・港区内に住むコンサルタント会社経営の渡辺一誠さん(40)は3月末、新型コロナウイルスに感染した。

 住居区内の保健所から紹介された某病院に入院。個室という、ほぼ隔離の環境下で10日間に及ぶ治療生活を送った。

 入院初日、保健所職員からかかってきた電話で、こんな会話を交わす。

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「港区にお住まいということは、六本木のクラブなどに行かれているんですね?」

「行っていません」

「お店に電話などしませんから、どんなクラブに行ってましたか?」

「ですから、クラブには行っておりません」

「自宅で何か、薬を飲むとか対策はしましたか?」

「ハイ、5キロほどジョギングしました」

「肺炎の対策としては、考えられる限り、最悪です……」

 保健所は、渡辺さんの感染場所を特定するために、過去1週間、どこで誰と会ったか、根掘り葉掘りと質問をしてきたのである。

 渡辺さん自身も、どこで新型コロナに感染したのか、手帳をめくりながら、過去1週間の行動を振り返ってみた。思い当たる節がひとつある。

 倦怠感など不快な症状を覚えた前日の土曜日(3月21日)、神奈川県の某所で仕事の打ち合わせをした後、5人で飲食をした。

 テーブルを囲み、5人一緒に素手で枝豆を食べたほか、カレーの回し食い。

「このほか、テーブルに置いてあったメニューをみんなで触ったぐらいでした。そのいずれかで簡単に感染してしまったのかと思いました」

 その後に得た情報で、5人のうち、渡辺さんを除く1人はコロナに感染して入院。ほかの人たちも検査後、自宅待機になった。

 病室は隔離状態で、部屋から外には出られない。トイレやシャワーもあるが、問題は洗面用具類とバスタオルやタオルの枚数だった。

 洗濯の申し込みは回数が限られていて、全部出すと手元になくなる。

■高熱が続く

 独身の渡辺さんは、通販を利用し、パソコンで必要な身の回り品を注文した。食事制限はない。ほかの入院患者は、家族から差し入れもされていた。

 前日もそうであったように入院3日目(3月29日)の朝に体温を測ると、平熱の36・6度だった。昼すぎまでうつらうつら寝ていて、目を覚まして体温を測ると、39・1度に。

「昨晩、解熱剤を2度投薬しても体温が39・8度でした。熱が下がりません。体がガクガクと震え、頭も痛い。『もういい加減にしてくれ!』と、声を出してしまいましたね」

 過酷なこうした症状が、入院8日目まで続くことになる。

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