睡眠の質低下を改善する7つのポイントでコロナに負けない

寝る30分前にはスマホの画面は見ない
寝る30分前にはスマホの画面は見ない

 新型コロナウイルス対策による生活の変化で、睡眠の質が低下した人も多いのでは? よくある行動パターンが睡眠にどう影響を与えるのか、国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長に話を聞いた。

★通勤時間がなくなり、夜更かしをしてしまう

「遅寝・早起きにして布団に入っている時間を減らせば、熟眠感が増し、寝床で長く過ごすと熟眠感が減ります。夜更かしをしても構いませんが、起きる時間を同じにして、体内時計のリズムを整えることが大切です」

★深夜までパソコンで仕事をしてしまう

「パソコンやスマホの画面が発するブルーライトは、脳を興奮させ、睡眠促進ホルモンの分泌を抑え、入眠を妨げます。少なくとも寝る30分前には見るのを控えるべき」

★運動不足解消のため、夜にジョギングをする

「運動のタイミングと睡眠の関係を調べた研究で、夜の運動で布団に入ってから寝始めるまでの時間が短縮し、入眠感や熟眠感が改善したという報告があります。寝る3時間前くらいから体温は下降し、体が眠る態勢に入りますが、この時に汗ばむ程度の運動を30分ほどすると、体温が急速に上昇し下降するので、眠気を誘発し、睡眠の質が良くなります」

 ただし、激しい運動は眠りの質を悪くする。

★一日中家にいるのでお腹がすかず、食事時間が不規則になった

「朝しっかり食べて脳への栄養補給をすることは、体温を高め、活動レベルを上げるだけでなく、夜ぐっすり眠るためにも重要です。夕食はタンパク質を中心にすると、良質な睡眠に不可欠なホルモンの材料となります。一方、夜遅くにたくさん食べると、就寝中も消化器系が活発に活動するため寝付きが悪くなったり、夜中に目が覚めたりします」

★自宅にいるのでコーヒーやお茶を飲みすぎる

「コーヒーやお茶などに含まれるカフェインは睡眠を妨害するのに加え、中枢神経活動の興奮による入眠困難、利尿作用による頻尿と中途覚醒を招きます。カフェインの血中濃度の半減期は2・5~4・5時間。寝る4時間前からはカフェイン飲料を控えるべきです」

★将来が不安で、寝酒なしに眠れない

「適量のアルコールは寝付きを良くし、睡眠前半の眠りを深くしますが、アルコールの代謝と排泄は素早く行われるので、睡眠後半には眠りが浅くなって中途覚醒が増え、悪夢を見やすくなります。利尿作用もあるので、それも中途覚醒につながります。お酒を睡眠薬代わりに飲むのは、決して勧められません」

★就寝時間を決め、その時間になると布団に入るが、眠れない

「自然に寝付けるタイミングは、意思でコントロールできません。睡眠に対して意識過剰になると、少しでも眠ろうと長く布団の中で過ごす一方で、なかなか寝付けず気持ちが焦り、余計に眠れなくなってしまいます。夜中に何度も目覚め、結果的に睡眠の質が下がってしまう。深夜まで眠れず悩んでいる場合は、早起きを続けてください。睡眠位相(睡眠の時間帯)が前に移行し、早く眠れるようになります」

 寝る前に「トイレに行く」「歯磨きをする」「パジャマに着替える」など決まった行動(スリープセレモニー)を取ると、脳も体も眠る準備ができたと反応し、寝付きがよくなる。

 また、音楽には覚醒調整作用があるので鎮静的な音楽で覚醒レベルを下げると寝付きやすくなる。ただし、入眠後も音楽が続くとかえって覚醒レベルが上がるため、タイマーをかけておく。

「よい睡眠の3カ条は、寝付きが良い、ぐっすり眠る、寝起きすっきり。質の良い睡眠で、体と脳の疲労をしっかり取るようにしてください」

関連記事