病の克服は患者に聞け

新型コロナ<4>熱い鉄板の上で焼かれるようだった恐怖感

実業家の渡辺一誠さん
実業家の渡辺一誠さん(C)日刊ゲンダイ

 発熱を感じた4日後、検査を受けた都内の病院で「新型コロナウイルスに感染」と診断された。

 東京・港区内に住む渡辺一誠さん(40=コンサルタント会社社長)は、診断された当日に緊急入院。個室の病床に伏せたまま、2日目、3日目と、出口が見えない壮絶な症状と闘うことになる。毎朝、体温が36・6度の平熱なのに、午後になると次第に体温が上昇し、39・8度の高熱を記録した。解熱剤を飲んでも、熱が下がらない。体はガタガタと震え、熱い鉄板の上で焼かれているような恐怖感。併せて、咳もひどかった。

「もともと風邪をひくと、咳は長引くタイプでしたが、コロナの咳は、これまで経験のなかった異常な状態でした」

 何かのはずみで、喉がゴボゴボという合図を皮切りに、不穏な空咳が1時間、2時間と延々と続く。

 空咳のこうした長時間の苦しい症状が、毎日繰り返された。食事どころか、睡眠の時間も奪われてしまう。

 深夜、看護師から解熱錠剤「カロナール」(アセトアミノフェン)をもらうとき、渡辺さんは、“コロナール”と聞こえた。「ふざけるな!」と、苦笑した。

 経過観察で病室を訪ねてくる担当医師の説明に耳を傾け、新型コロナウイルスの知識を頭に刻む。

「病症例数は少なく断定はできませんが、熱のピークは発熱後、8~9日前後。熱が下がって数日したら再検査を行い、陰性なら無罪放免です」

 期待の「抗体」については、「人体に『抗体』ができるまで、おおよそ2週間ぐらいかかるでしょう。その期間を最低隔離にする根拠になっています」とのこと。

 人体にできた「抗体」は、その後どうなるのかと、聞いてみる。

「新型コロナウイルスの症状が完治した後、抗体の働きが弱くなるまでの数年間は、基本的に新型コロナに感染することはない」

 抗体が力を失ったらどうなるのでしょう。

「再び新型コロナに感染しても、1度目のような強い症状はなく、軽い風邪程度に治まる。だから一度感染したら、コロナに対して、心に平穏が訪れるかもしれません」

 渡辺さんは入院中、友人の友人が検査で「陽性」と診断され、知人が危篤という悲しい知らせも受けた。

「私は意外と明るい性格で、こんな私を産んでくれた老親に感謝しております」と、前置きしながら、こう話す。

「新型コロナウイルスは、インフルエンザと同じく将来、共存していくウイルスになるのではと予測をしています。とにかく、国民ともども、現状から早く脱出したい!」

 (つづく)

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