夏マスクで鼻ニキビを作らない方法 皮膚科専門医が伝授

アベノマスクはサイズでも失格
アベノマスクはサイズでも失格(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響で今夏はマスクが手放せない。そのため各種クールマスクが登場しているが、それでもマスク着用は暑く、苦しく、蒸れるとの三重苦となっている。そのありがたくない副産物として、鼻のニキビの発症が急増しているという。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医でニキビ治療のエキスパートとして知られる「かくた皮膚科クリニック」(東京・成城)の角田美英院長に夏マスクのニキビ対策を聞いた。

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「鼻にニキビができるのは、マスクによる擦れとマスク内の蒸れが主な原因です。今年は5月ごろからこうした症状の人がクリニックに大勢駆け込んできます」

 ニキビには種類があり、色によって「白」、「黒」、「赤」、「黄」のニキビに分けられる。黄色い膿を伴う黄ニキビや、酸化した皮脂などによって黒ずんで見える黒ニキビもあるが、マスクによる症状で注意すべきは白ニキビと赤ニキビだという。

「マスクが擦れると、その物理的刺激で鼻の角質が厚くなり、毛穴の入り口が詰まって、皮脂がたまります。それによって白ニキビが発生します」

 嫌気性(けんきせい=増殖に酸素を必要としない性質)で皮脂を好むアクネ菌が増えて、白ニキビから炎症が進むと、赤ニキビに進行する。

「また、アクネ菌はマスク内が蒸れて細菌が繁殖しやすくなることでも増えて、赤ニキビにつながります」

 アクネ菌は正式には「プロピオニバクテリウム・アクネス」という。常在菌で普段から肌に住み着いているが、増殖すると、炎症を起こし、赤ニキビなどの原因になる。

■アベノマスクはサイズでも失格

 擦れたり蒸れたりしないために、まずはマスク選びから。

「マスクは、小さいと肌を圧迫して摩擦の原因になります。鼻、ほお、あごをしっかり覆う心持ち大きめのフィット感の良いものを選ぶといいでしょう」

 ちなみにアベノマスクは商品の検品にも漏れがあったが、安倍晋三首相のあごがハミ出ているように、ニキビ対策ではサイズでも不合格のようだ。

「肌当たりの柔らかい素材、通気性の良い素材を選びましょう。紙のマスクならマスクと肌の間に柔らかいガーゼをはさめば、摩擦軽減につながるかと思います。もし可能ならば、化学繊維のマスクは避け、洗えるシルクの布マスクもいいかもしれません」

 マスクの手持ちに余裕があるなら、1日数回取り換えると、マスク内の清潔状態が保てるという。

 夏マスクは、特に満員電車の中などで着用し続けると、蒸れることは避けられない。ニキビに直結する蒸れ防止には、「時々、人のいない場所では、タイミングを見てマスクを外すことも必要です」

 角田医師は東京医科歯科大学医学部卒業後、皮膚科医を目指して順天堂大皮膚科学教室に入局。ここで13年ほど過ごした後、民間の美容皮膚科でも研鑽を積み、2009年に開院した。

 美容皮膚科のキャリアも踏まえて、今度は洗顔のコツを伝授してもらう。

「洗顔は、たくさんの泡でとにかく優しく、洗いましょう。摩擦を起こす洗顔ブラシなどは使わず、手でたくさんの泡を動かして、汚れを浮かせるのがコツです」

 洗顔料は、「ノンコメドジェニックテスト済みの製品」がいいそうだ。コメドとは白ニキビの原因になる、毛穴に皮脂や角質が詰まってふくらむ状態をいう。

 テスト済みの商品なら、「ノンコメド」ということで、ニキビの元になるコメドの発生抑制が期待できる。このことは女性には周知されているかもしれないが、慣れない男性も商品選びの際にテスト済みか否か、パッケージなどをチェックしてみよう。

 洗顔の回数については「マスクを長時間つけることで、どうしても細菌が繁殖しやすくなるので、1日2回はしっかり洗顔してください」

 これまで朝など1回の洗顔だけで済ませていた人は、ニキビ顔を避けたいなら2回の洗顔が必須となる。

 ただ、こうした予防策などを講じる前に、すでに「最近、ニキビが出始めたかな」と感じる人は、症状が悪化する前に、早めに皮膚科で診てもらうことも必要だろう。

(取材・文=中野諭/医療ジャーナリスト)

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