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感染封じ込め成功国からの帰国<5>日本は管理が緩くなっている

日本では行動制約期間中でも監視や罰則がない
日本では行動制約期間中でも監視や罰則がない(C)日刊ゲンダイ

 8月27日、成田のAホテルに2週間隔離状態にされた、台湾からの帰国者、古川亮一さん(仮名・40=社会福祉団体職員)がようやく解放された。

「チェックアウト時、ホテルから『2週間宿泊証明書』を手渡され、出所というか、喪が明けたような感じでホテルを出ました」

 海外から成田国際空港に降りた乗客は、日本の検疫法で「陽性」の結果が出ると指定の宿泊施設に隔離されている。

 同じく感染症法で、古川さんのように検査の結果が「陰性」でも、2週間の行動が制約された。

「もっとも、2週間の滞在でホテル側からパスポートを管理されることもありません。4月ぐらいまではホテルで毎日、宿泊客に検温を実施していたそうですが、それもありません。感染管理が緩くなっているのでしょう」

 食事はホテルと提携しているデリバリーはあったが、古川さんは息抜きを兼ねて毎朝、ホテルを出て近所のコンビニなどで弁当などを買い求めた。

「私が宿泊していた階は、朝方に廊下に出ると、だいたい20部屋のドアノブに弁当が吊るされていましたね。飛行場から直行した『陰性』の宿泊客だと思います。でも、2週間滞在して、廊下ですれ違った宿泊客はたったの1人だけでした」

 宿泊客は部屋から出ない。コロナの感染を恐れていたからだ。

「私も日本は感染拡大エリアのイメージが強く、マスクも台湾から100枚単位で持ち込んで、外に出る時は必ず着けていましたから」

 古川さんは時間潰しにスマホで台湾の知人や友人たちと、盛んにコロナ情報を交わし合った。

 台湾の人が一様に驚いていたのは、日本のコロナ事情であったという。

 台湾はすでにコロナ感染が終息し、街を歩く人からマスクを外す人が増えた。

「それなのに、先進医療が世界のトップにあり、しかも神経質な国民性の日本で、なぜコロナ感染を抑え切れないのか不思議だと言っていました」

 ホテルに15日間の滞在だったが、感想は比較的自由だったこと。

 利用の制約を受けているタクシーや公共の乗り物を使ったところで、監視や罰則を科せられることもない。

 実際、古川さんが成田から電車で都心に向かう時も、改札口で駅員から「今日、飛行機を利用しましたか」と問われ、「いいえ」と答えると、すんなり通してくれたという。

「約9万円の宿泊費を支払ってホテルに滞在した理由は、他の『陰性』宿泊者も同じ考えでしょう。審査用紙に明記して入国をパスし、直後に違反してトラブルを起こした場合、今後の出入国が面倒になるリスクが高い。だから素直に従ったのだと思います」

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