コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

世界中で報告 新型コロナは風邪のように何度も感染するのか

コロナを侮ってはいけない
コロナを侮ってはいけない(C)新華社/共同通信イメージズ

 新型コロナウイルスに感染していったん回復したにもかかわらず、再度感染したケースが世界中で報告されている。日本では10万人超の感染者が確認されているが、風邪と同じように何度も感染するのか? 「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。

 香港在住の30代男性は3月下旬にせきや発熱などの風邪症状からPCR検査を受け陽性と判定された。その後、症状は悪化することなく4月中旬には陰性に。ところが、8月中旬にスペインから帰国した際の空港検査で2度目の陽性と判定され、男性から検出された2回のウイルスを分析したところ、異なる由来のウイルスだったという。

 米国では20代の男性が4月に陽性と判定され5月に陰性となったが、6月に再び陽性となった。このケースでも採取したウイルスの遺伝子を分析したところ、再感染だったことがわかったという。どちらも欧米の医学雑誌に掲載の症例だ。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)が9月下旬に公表した資料には、ベルギー、インド、エクアドルの報告もある。

 日本でも8月の検査で陽性と判定された沖縄県の女性2人はいったん陰性になったが10月上旬に再度陽性となり保健所から再感染と認定された。

 風邪は同じシーズンに何度もひく人がいる。インフルエンザもシーズンに複数回かかることがある。新型コロナウイルス感染症も一度かかった人が何度もかかる可能性があるということか?

「いまのところ、再感染はレアケースとされています。それはウイルスに感染すると抗体ができて、同じウイルスが侵入しようとしてもブロックするからでしょう。新型を含めコロナウイルスはインフルエンザと違って、簡単に遺伝子が変異して姿を変えないよう、修正機構を持っています。ですから簡単に再感染することはないと思います」

 ただし、新型コロナの抗体は数カ月で消失する可能性があるという。

「そうなれば、再感染の可能性はあります。これまで新型コロナウイルスに感染した人は抗体が再感染から身を守ってくれましたが、抗体が消失すればそうはいかない。一度かかった人は、それだけ新型コロナウイルスの感受性があると考えられ、より警戒すべきだと思います」

 多くの人が誤解しているのは、PCR検査陰性が体内にウイルスがいないことの証明ではないことだ。

「ウイルスには感染後、免疫組織により完全に体内から消えるものと、そうでないものがある。インフルエンザは完全に消失するが、HIVやヘルペスは長期間体内に残り、免疫機能が低下すると活動し再びウイルスを体内にまき散らすのです」

 エボラウイルスのように症状が治まっているようにみえて、精巣内に潜んで、1年近く精液にウイルスを送り込み、性行為によって再び感染拡大させるウイルスもある。

「新型コロナの感染にはこうした再燃があるか、ないかハッキリしていません。だからこそ、これまでの感染者はより注意が必要なのです」

 一度感染して抗体ができれば大丈夫なんて思ったら大間違いだ。

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