血栓が一因…新型コロナで「じんましん」が出るケースも

7割が原因不明の「特発性じんましん」
7割が原因不明の「特発性じんましん」

 たまたまか。最近、やたらと「じんましんに悩んでいる」という話を聞く。ある女性は半年以上、じんましんがほぼ毎日出ており、薬を欠かせない。「もしかして、これも新型コロナウイルスの症状……?」と悩み、自費でPCR検査も受けたが結果は陰性だった。

「コロナでじんましんが出ることもあります」

 こう言うのは、じんましん治療に詳しい日本大学医学部付属板橋病院皮膚科医師の葉山惟大氏。

「ウイルスが血液中に入り内皮細胞を傷つけると、血栓ができやすくなります。すると血管に隙間ができ、アレルギーをつくる細胞が血管外に出ていき、じんましんが起こりやすくなるのです。ただし、これはウイルス全般の話。コロナで特にじんましんが起こりやすいとの指摘はあるものの、コロナに限ったことではありません。インフルエンザウイルス感染でじんましんが出てもおかしくありません」(葉山惟大氏)

 そもそも、じんましんは原因を特定しづらい病気だ。じんましんというと「サバを食べるとブツブツが出る」「甲殻類に弱い」など食物アレルギーの話をよく聞くが、原因を特定できるじんましんは5%に過ぎず、7割が原因不明の「特発性じんましん」と呼ばれるもの。このうち半数は、症状が6週間以上続く慢性特発性じんましんだ。

「薬による治療はステップ1から3まであり、効き目を見ながら次のステップに進んでいきます。当院には重症患者も来ますが、ステップ3までの治療で大体、9割が良くなります。薬で症状を抑えられるようになったら、時間をかけて薬を減らし、薬なしでも症状が出ないようにまで持っていきます」(葉山惟大氏)

 じんましんで最初に使われる薬は、花粉症などにも使う抗ヒスタミン剤だ。市販薬としても売っているが、「抗ヒスタミン剤は眠くなるから使いづらい」という人もいる。その場合、第1世代と呼ばれる古いタイプの抗ヒスタミン剤を使っている可能性大。第2世代の非鎮静型抗ヒスタミン剤なら、眠気などの副作用は少ない。

 いずれにせよ、繰り返し起こるじんましんをきちんと治すには、専門医に診てもらうのが一番。じんましんの治療に力を入れている皮膚科を探すべきだ。なお、「じんましんが内科の病気の症状かも」と心配する人がいるが、「肝臓や腎臓が悪いのでじんましんが出るということは少ないです。ただし、膠原病の一症状であるケースはありますので、微熱や関節痛を伴う時は要注意です」(葉山惟大氏)とのこと。

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