ズバリ解決 名医のお悩み相談室

ほくろが年々大きくなって…がんにならないでしょうか?

形成外科、美容皮膚科の松澤宗範氏
形成外科、美容皮膚科の松澤宗範氏(提供写真)

 ほくろ(色素細胞母斑)が大きくなると皮膚がんなのではないかと不安になる方がいます。基本的には生まれつきある“先天性のほくろ”には注意が必要ですが、成長していく過程で母斑細胞が増殖してできる“後天性のほくろ”はがん化する危険は低いと考えていいでしょう。

 先天性の場合はパターンがあり、顔や背中などに巨大色素細胞母斑(直径20センチ以上)があると「メラノーマ」(悪性黒色腫)が発生する可能性が2・3~7・5%、中型(20センチ以下)や小型(1・5センチ以下)でも0・8~2・6%に発症の可能性があります。メラノーマとは皮膚がんのひとつで、メラノサイトと呼ばれる色素をつくるほくろの細胞(母斑細胞)が悪性化した腫瘍のことです。

 後天性のほくろががん化するケースは極めてまれです。たとえば後天性のメラノーマは10万人に1・1人という低い発症率です。顔などの目に見える場所だけでなく、手のひらや足の裏といった日常的に刺激を与える部位または口の中の粘膜や目の結膜にできることもあります。リンパへの転移もしやすいので、早期発見が大事になります。

 メラノーマの他にも皮膚がんには、罹患率の多いものとして「基底細胞がん」と「有棘細胞がん」があります。基底細胞がんは、皮膚がん全体の24%を占め、10万人に4人が発症するといわれています。顔や目の周りにできやすく、転移はしにくいがんです。

 有棘細胞がんの発症率は10万人に2・5人で基底細胞がんの次に多いがんです。

 色は黒くならず、傷や、やけどのあとに発症しやすいのが特徴です。リンパへの転移があるので注意が必要です。

 いずれも、後天性でがんになるほくろやしみは共通の傾向があります。よく見ると「非対称」「輪郭がギザギザ」「境界が不明瞭」「色むら」といった特徴があります。初期段階ではいずれも痛みはありません。早期発見・早期治療が大事ですので、ほくろが多い人や気になるほくろを見つけたら、皮膚科を受診し、検査をしてほしいです。

▽松澤宗範(まつざわ・むねのり) 専門は内科、形成外科、美容外科、美容皮膚科。2014年3月近畿大学医学部医学科卒業後、慶応義塾大学病院初期臨床研修医、16年4月に慶応義塾大学病院形成外科入局。その後、埼玉医科大総合医療センター形成外科・美容外科などに勤務し、19年2月に銀座美容外科クリニック分院長、20年5月、青山メディカルクリニックを開業した。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」にて解説します。

関連記事