ノロウイルスとインフルは激減も…新型コロナが防げない謎

手洗いとマスクはすっかり日常の習慣に
手洗いとマスクはすっかり日常の習慣に(C)日刊ゲンダイ

 例年11月くらいから患者数が増加するのがノロウイルスによる感染性胃腸炎。京都府立医科大学大学院消化器内科学准教授の内藤裕二氏が言う。

「つい先日も関西の一般診療所で診察を行なっていたのですが、今年はノロウイルスの感染性胃腸炎はまだ一例も見ていません。国立感染症研究所による東京の報告を見ても、集団発生の報告は非常に少ない。患者数が少なかった昨年を除き、東京では例年500施設前後でノロウイルス感染の集団発生が起こっていることを考えると、明らかに今年は少ないですね」

 今年の感染者数が少ないのはインフルエンザも同じで、内藤准教授は「やはり患者さんをほぼ診ていませんね。南半球では冬のシーズン、やはり同様でした。南半球のデータから今年はインフルエンザは流行しないだろうと予測していましたが、現時点では、その通りになっています」と話す。

 ノロウイルス、インフルエンザの患者数減少に大きく関係していると考えられるのが、新型コロナウイルス対策で日常生活に取り入れるようになった手洗い習慣とマスク。特に人から人への感染力が強いノロウイルスは、誰かひとりが発症すると、患者の嘔吐や便などにたくさんいるウイルスが、周囲の人の手から口の中に入り、一気に感染を広げる。嘔吐や便の中のノロウイルスは、空気中に飛び散って感染拡大につながるのも厄介だ。

「便→手→口と本来広がっていくのを、石鹸での手洗いを徹底するようになり、しかもマスクを着けるのが普通になったので、それがノロウイルスの予防になっている。しかしなぜノロウイルスやインフルエンザの患者は減少しているのに、コロナの感染拡大は防ぎ切れないのか、疑問点はいくつもあります。しかし一つ考えられるのは、コロナは皮膚の上でも長く生きるということです」

 A型インフルエンザウイルスは、人間の肌で生存できる時間は1時間ほど。一方、コロナは9時間経っても生きていることが、内藤医師が所属する京都府立医科大学大学院消化器内科学の研究で明らかになっており、これは論文としても最近発表されている。

 コロナが「感染激減」となる日はいつになることか……。

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