コロナ第3波に備える最新知識

コロナ禍での花粉症との付き合い方 似た症状が出ることも

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今年の花粉の飛散量は昨年に比べて全国平均で160%増、東京で120%増になると予想されている。東京では2月上旬からスギ花粉が飛び始めるとされており、すでに鼻がむずむずするなど花粉症症状が出ている人もいるはずだ。なかにはマスクをしていたのに、電車や喫茶店などでくしゃみや咳をして新型コロナと勘違いされて気まずい思いをした人もいるだろう。新型コロナ禍での花粉症との付き合い方を日本耳鼻咽喉科専門医で「慶友銀座クリニック」(東京・中央区)の大場俊彦院長に聞いた。

「関東では例年、スギ花粉飛散のピークが2月下旬から3月中旬まで続き、そのあとはヒノキ花粉が飛び始めて4月下旬くらいまで続きます。花粉に敏感な人は、すでに病院にいらしてます」

 リモートワークの影響で患者数は少ないものの、来院者に占める花粉症患者の割合は例年と変わらない、という。典型的な花粉症の症状は、目のかゆみ、鼻水、くしゃみだが、人によっては咳や軽度の発熱、頭痛や全身の倦怠感、息切れ、嗅覚・味覚異常を伴う場合がある。

「一方、新型コロナの初期症状には咳や息切れ、発熱や悪寒、筋肉痛や関節痛、嗅覚・味覚異常などがあります。花粉症と症状が似ているため、『新型コロナかもしれない』と悩みながら、来院される方も少なくありません」

 実際、花粉症を疑い来院した患者の中には新型コロナの可能性のある人もいて、別の医療機関でPCR検査を受けるよう指示することもあるという。耳鼻科専門医が検査器具を用いて鼻の奥の粘膜の状態を見ると花粉症か否かはすぐにわかるが、一般の人はもちろん、通常の内科医でもその区別は難しい。

「鼻炎で目がかゆい、などという患者さんはまずは花粉症を考えます。毎年、花粉症に悩まされている人で、目がかゆくて、鼻水やくしゃみが出るという場合も花粉症の可能性が高い。倦怠感も全身に及んでいる場合は新型コロナの可能性がありますが、鼻が詰まって頭が重い、鼻の周辺がけだるいというケースも花粉症かもしれません」

 気になるのは嗅覚障害だ。新型コロナの典型的な初期症状といわれるが、花粉症でも起こることがあるという。

「区別のポイントは鼻詰まりです。鼻詰まりのある嗅覚障害は花粉症、鼻詰まりなしで匂いが感じられない場合は新型コロナの可能性があります」

 花粉症なら抗アレルギー薬で症状を軽減することができる。しかし、自分勝手に判断せずに病院で診てもらうことだ。

 発熱などの症状があれば「病院に行く前にまず電話をして症状や体調などを伝えるようにしましょう。『病院で新型コロナに感染するのではないか』と心配な人は、オンラインでの受診という方法もあります。かかりつけの病院でオンライン診療が可能かを確認するのもいいでしょう」。

 ウイルス感染症の新型コロナとアレルギー性疾患の花粉症はまったく別の病気で併発の可能性もある。

 花粉症によるくしゃみ、鼻水が周囲への感染経路になることへの注意も必要だ。

「人にうつさない、うつらないためにもマスクは鼻まで覆い、くしゃみを抑えた手で物を触らないよう注意して、その後、手を洗うこと。目をこする前には手を洗うことなどに気をつけましょう」

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