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ウオノメはなぜできるのか 正しいセルフケアと治療法は?

皮膚科医の神林由香氏
皮膚科医の神林由香氏 (提供写真)

 ウオノメは、正式名称「鶏眼」(けいがん)と呼ばれるもので、圧迫や摩擦といった物理的な刺激が慢性的に加わることで、皮膚の表面にできてしまう硬いしこりです。

 似たようなものでタコ(正式名称「胼胝=べんち」)がありますが、タコは皮膚が硬くなって外側に盛り上がるのに対し、ウオノメは硬くなった部分が皮膚の内側のほうにのめり込み、芯のようになることが大きな違いです。

 タコは硬くなるだけで痛みを伴いませんが、ウオノメは硬くなった芯が押されると痛みを感じるのが特徴。

 原因の多くが、サイズや形の合っていない靴を履いたりして、ウオノメができる部分の皮膚に無理な力がかかっていることにあります。

 セルフケアは、できてしまったものを取り除くだけだと、その時は一時的に良くなりますが、原因に対処しないと根本的な解決にならず再発してしまいます。ウオノメそのものを取り除くことではなく、できないような生活習慣を送ることが大事です。ウオノメができてしまった部分に無理な力がかからないように、靴の形やサイズを見直したり、市販の緩衝材(ウオノメの部分に力が加わらないようにするパッチなど)を利用してみてもいいでしょう。足裏の特定の場所に体重がかからないよう、歩き方に注意することでも改善できます。

 ウオノメをカッターやカミソリなどの刃物で無理やり取り除くと、傷がなかなか治らなかったり、傷からウイルスなどが入ってしまう可能性もあります。

 ウオノメそのものが悪性化するリスクは低いですが、歩くたびに痛みを伴うなど、日常生活に支障をきたしてしまうのであれば皮膚科を受診するといいでしょう。

 ただし、身に覚えのないウオノメができた場合、ウオノメだと思っていたものが実は他の病気である可能性があります。多いのは「ウイルス性疣贅」です。いわゆるイボの一種で、原因がウイルスによるものです。放置していると、どんどん増えて足全体や体の他の部分にも広がってしまう可能性があり、皮膚科での早めの治療が必要です。

 また、頻度は低いですが、ウオノメができやすい足底は、メラノーマ(ホクロのがん)ができやすい部分でもあります。

 黒っぽいウオノメだと思っていたら、実はメラノーマだった、というケースもあります。

 軽いものだと思いこんで放置しない姿勢が大切です。

▽神林由香(かんばやし・ゆか) 東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局。現在、「メンズクララクリニック」院長。日本皮膚科学会、日本抗加齢学会、メンズヘルス医学会会員。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」でも解説します。

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