50代独身男性と80代老親のコロナ闘病記

<2>新型コロナ退院後に自覚した「足腰の弱り」と「体重増」

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 東日本の大学病院で30年以上、事務職員を勤めた私(55歳)は、6年前の離婚を転機に母(85歳)と2人暮らし。糖尿病を抱えている。新型コロナの重症化リスクを自覚し、「正しく恐れる」を実践していたが、なぜか母子ともに新型コロナに感染してしまった。

 10日間のコロナ闘病を乗り越え、病院を退院してすぐ体重計に乗った。病院食で3、4キロはやせている確信があった。しかし1.5キロ減。動かないからか? 姪っ子が病院にバレンタインで送ってくれたチョコレートも影響したか。

 コロナで入院する前の2年間で、15キロ減量した。減量していなかったら重症化リスクは桁違いに高まっていただろう。SAS(睡眠時無呼吸症候群)の治療でC-PAPも利用しており、夜間の呼吸も改善した。コロナにかからないことが一番良いが、良いタイミングで入院したと思っていたのだが……。

 退院して足腰が弱っていることを自覚した。階段では膝がガクガクする。今後の目標は明確だ。「心肺機能を高める」「筋力を高める」「重症化(再入院)リスク低減のために痩せる」「膝の慢性痛を治す」の4本柱だ。そこで、「歩く」「ストレッチをする」「食事量を減らす」「風呂で汗を出す」という4つの行動指針を定めた。緊急事態宣言解除後のリバウンド、変異ウイルスによる第4波が懸念されている。私は体重のリバウンドを阻止したい。

 退院後1カ月の自宅療養で、すでに4キロ太った。まさしくコロナ巣ごもり太りだ。また、退院時の胸部CT検査で、偶然にも腎臓に結石が発見された。よく水分を摂らねばならない。サウナも控えるよう指示があった。血管の血栓が剥がれて詰まり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるからだ。

 体重増のピンチだ。散歩をしてみた。退院直後の膝のガクガクは、少し収まってきた。元々長年の慢性の膝痛持ちでもあり、歩く距離は800メートルくらいが限界だ。大した運動量ではない。

 コロナの後遺症として、直接的な後遺症(味覚障害や嗅覚障害など)だけでなく、コロナ治療のために数週間安静にしたことによる「廃用症候群」(寝たきりなど体を動かさないことによって生じる障害の総称)がある。健康成人がベッドに寝た切りだと1週間で10~15%の筋力低下が起こるとされる。

■心肺機能回復には入院の3倍の期間が必要

 心肺機能の低下も大きい。回復には入院の3倍の期間が必要といわれる。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著だ。気分的な落ち込みが現れてうつ状態になったり、前向きに取り組むやる気が減退したりと、精神的な機能低下も見られる。

 これらに対する唯一最大の対策は、段階的な積極的リハビリテーションだ。できれば専門家の指導下が望ましいという。 高齢者や持病がある高リスク者、コロナ重症者はなおさらだ。しかし残念ながら、現在の医療体制ではコロナ患者の退院後リハビリに気を配る余裕がない。やむを得ないが、コロナは日本の医療のリハビリの課題を浮き彫りにした、と感じた。(つづく)

関連記事