50代独身男性と80代老親のコロナ闘病記

<3>鼻水、咳、微熱…最初の異変から入院後高熱にうなされるまで

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写真はイメージ(C)PIXTA

 85歳の母と2人暮らしの私は今年55歳。知らぬ間に家庭内感染して母子で入院した。先に新型コロナの恐ろしさを知ったのは糖尿病を抱える私だった。

 入院3日前の夜。くしゃみと鼻水、微熱が出た。この時期、微熱でもコロナが心配だ。そのため早く就寝した。

 入院2日前の朝。熱が下がる。単なる風邪の症状だったか? 医師に相談すると、コロナ疑いのため、翌日にPCR検査を受けることに。同居の母と接触しないように自室にこもり、隔離した。

 夜になり体温が37・7℃に。いよいよコロナか。自室隔離を続ける。母も37・4℃と発症の兆しが現れた。

 入院前日の朝10時。病院発熱外来へ。隔離された建物の外の特設テント内でPCR検査、抗原検査、胸部CT検査、インフルエンザ検査を待つ。電気ストーブはあるが寒い。コートとセーターを着込んできてよかった。
 
 医師が防護衣で到着。聞く所によると、通常業務にプラスαの業務であるとのこと。防護衣の着脱だけでも普段とは違う負荷がかかる。申し訳ないと思った。患者1人の検査でも厳重な感染対策。コロナ患者増、病床使用率が高い状況での医療崩壊を察した。

 自宅に帰り、検査結果を待つ。熱は36・7℃。母も35・7℃で、夜の熱は午前中いったん落ち着いている。

 昼12時。医師から「陽性」との連絡が入った。コロナ隔離病棟は満床だったが、調整いただくことに。ただし入院先が病院になるかどうかは、保健所判断となる。医師から保健所へのコロナ発生届けには、「肺の画像から重症化も視野に入る中等症。同居の高齢の母と隔離が必要のため入院も視野」と記載された。感染源は不明。濃厚接触者は母のみ。医師いわく、同じレストランで隣の隣のテーブルから感染した事例もあるとのこと。無症状感染者も街には多くいるだろう。

■同居の母も1日遅れで同じ症状に

 13時。母が近隣クリニックでPCR検査(唾液)を受ける。結果は2、3日かかる。

 14時。保健所から連絡。母と同居の事情を説明し、長く付き合いのある病院を希望した。

 16時30分。再び保健所から連絡があり、病院への入院が確定。明日朝9時半に保健所の白い車が迎えに来る。「ドアは手で触れないように」と言われる。

 17時。医師から連絡。母は90歳に近い高齢者で急な重症化もある。今日は水分をたくさん摂って、明日9時半にPCR検査するとのこと。

 17時30分。母がPCR検査に行かないと抵抗。母の症状は発熱、鼻水、咳。1日遅れで私とまったく同じ症状だ。明らかに家庭内感染でコロナの可能性が高い。「命に関わる病。陽性だったら明後日から入院」と強い口調で説明し、母がしぶしぶ同意する。

 コロナ感染予防のため「正しく恐れる」ということを実践していたつもりだった。しかし、感染した途端、「本当に正しく恐れた行動をしていたのか」と回顧した。もはや治療は医師に、命は天にお任せするしかない。まな板の上のコイだ。(つづく)

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