細菌やウイルスなどの病原体に感染すると、その病原体に対する免疫を獲得し、再び同じ感染症にかかりにくくなります。これを獲得免疫と呼びますが、長きにわたり免疫効果が持続する感染症と、そうでない感染症があります。
たとえば、おたふく風邪は一度感染すれば生涯にわたり免疫を獲得することができます。しかし、風邪の原因ウイルスやインフルエンザウイルスに感染して獲得された免疫は、その後の再感染を完全に予防するものではありません。新型コロナウイルスについても獲得免疫を得られるはずですが、その効果について詳しいことは分かっていませんでした。そんな中、新型コロナウイルスの再感染率を検討した研究論文が、世界的にも有名な医学誌、ランセットの電子版に3月17日付で掲載されました。
デンマークで行われたこの研究は、新型コロナウイルスのPCR検査に関するデータベースに登録されている52万5339人が解析対象となりました。感染流行の第1波(2020年3~5月)と、第2波(2020年9~12月)における検査結果から、再感染率が検討されています。
解析の結果、第1波で検査陽性だった1万1068人のうち、72人が第2波でも陽性(再感染)と判定されました(10万人当たり1日5・4件)。他方で、第1波で検査陰性だった51万4271人のうち、第2波で陽性と判定された人は1万6819人でした(10万人当たり1日27・1件)。第2波における感染率は、第1波で感染しなかった人と比べて、感染していた人で80・5%低下していました。
再感染に対する防御率は約8割という結果ですが、この防御率は65歳以上の高齢者では47・1%にとどまりました。高齢者では、新型コロナウイルスに感染した人でもワクチンの積極的な接種が推奨されます。
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