新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識

関東の7割はデルタ株へ コロナ第5波までの死亡リスクはどう推移したか

新規陽性者数が2万人を突破
新規陽性者数が2万人を突破(C)共同通信社

 新型コロナウイルス感染症の猛威が止まらない。

 13日には、1日の新規陽性者数としては初の2万人を突破した。

 都道府県別で同日に過去最多を更新したとみられるのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、京都、茨城、静岡、群馬、熊本、三重、長野、鹿児島、新潟、愛媛、佐賀、岩手の16都府県。秋田は最多に並んだ。

 新規陽性者数が5773人と最も多い東京都ではその前日に独自基準による重症者数が200人を超え、自宅待機者数も2万人を上回っている。

 このため病床逼迫が現実のものとなり、専門家から感染拡大は「災害レベル」「制御不能」の状態であり、「医療提供体制が深刻な機能不全」との認識が示され、災害時と同様に、自分の身は自分で守る段階との厳しい声が上がっている。

 6月末まで全国で2000人に満たなかった1日の新規陽性者数はなぜ、急拡大したのか?

 要因のひとつに挙げられるのがインドで初めて特定された変異株である「デルタ株」の存在だ。強い感染力を持つ。従来の新型コロナウイルスの感染者は1人で平均1.4~3.5人くらいに感染させてきたが、デルタ型は平均5~9人に感染させるという。これは空気感染させる水ぼうそうと同じ感染力とされる。

 デルタ株はインドでは7月4日時点で91%を占め、欧州では6月21日時点で23カ国で検出された。欧州の主要12カ国の検出割合は8月初旬に80%、8月下旬に90%になると推測されている。

 日本でも7月27日時点の分析で、関東75%、関西32%がデルタ株だったことがわかっている。

 気になるのは、その病原性だ。

 シンガポールの研究ではデルタ株はそうでない変異株に比べて酸素利用、ICU入室、死亡リスクが4.9倍とするものがある。入院リスクは2.2倍(カナダ)や2.61倍(英国)というデータもある。

 ただし、医療体制やワクチン接種率、国民の体格などが異なる外国のデータだ。日本はどうか?

■単純致死率は下がっているが…

 厚労省のホームページで公開されている報道用資料で、デルタ株が過半数を占めると考えられる直近1週間と第1波~第4波のピーク直前1週間の新規陽性者、重症者、死者を比べてみた。

 まずは直近の数字だ。8月7~13日(発表ベース=以下同)の国内での新規陽性者数は10万1996人、入院者数は3万4695人(うち重症者数458人)、死者数は118人。単純に計算すると致死率は0.12%となる。

 第1波のピークを2020年4月11日とすると、直前1週間の新規陽性者数3047人、入院者数2836人(同53人)、死者数25人で、単純致死率は0.82%。

 第2波のピークを20年7月31日とすると、新規陽性者数6333人、入院者数2693人(同19人)、死者数14人で、単純致死率は0.22%。

 第3波のピークを21年1月8日とすると、新規陽性者数3万812人、入院者数1万728人(同110人)、死者数397人で、単純致死率は1.29%。

 第4波のピークを21年5月8日とすると、新規陽性者数3万4803人、入院者数6196人(同111人)、死者数472人で、単純致死率は1.36%。

 つまり単純致死率はデルタ株が増えて逆に下がっている。ちなみに季節性のインフルエンザの致死率は0.2~0.5%とされる。

 むろん、これは3密回避、マスク着用、不要不急の外出自粛などの掛け声に応える国民の努力、医療関係者の尽力、医療資源の効率化、ワクチン接種の効果などが結集した結果。今後そのひとつでも破綻すれば数字は大きく変化しかねない。

 いまはいたずらに恐れずに、自分のできる範囲で身を守る努力をすることだ。

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