30~60歳の「ED」は糖尿病、高血圧、脂質異常症のサイン

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 30代後半以降のED(勃起障害)は生活習慣病のサイン。こう言うのは、ED治療を専門に行う「浜松町第一クリニック」の竹越昭彦院長だ。重大病発症を食い止められる可能性もある。

「初診の患者さんで最も多いのは、46~47歳くらい。EDをきっかけに、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症といった生活習慣病が見つかる人もいます。EDで、もしかしてと血圧を測ってみたら、上180/下120㎜Hgだった、という人もいました」(竹越院長=以下同)

 高血圧と診断されるのは、135/85以上。180/120というのはかなりの高血圧で、いつ心筋梗塞や脳卒中を起こしてもおかしくない。

「EDが生活習慣病のサイン」というのは、勃起が血管と神経が複雑に関わる現象だからだ。性的刺激を感じると脳の中枢神経が興奮し、その情報が脊髄神経を通って陰茎に伝わり、勃起に関わる陰茎深動脈という血管と螺旋動脈が緩み、さらに海綿体の平滑筋も弛緩する。そこに大量の血液が流れ込み、海綿体が硬くなる。これが勃起だ。

 ところが、血管や神経に障害を起こす生活習慣病があると、勃起のメカニズムがうまく働かなくなる。陰茎深動脈は細い血管なので、早期の生活習慣病でもEDになることは珍しくない。

「EDの原因は、加齢、不規則な生活習慣、ストレスや不安といった心因性、脳出血やパーキンソン病といった神経系の障害などさまざまです。もし若い年代でEDなら、まずは心因性が考えられるでしょう。また、60代以降なら加齢によるED。しかし、30代後半以降から60歳手前くらいの年代でEDがあるなら、生活習慣病が関与していることを疑うべきです」

■ED治療薬が不要になる可能性も

 竹越院長が40~70代の男性を対象に行った生活習慣病とEDに関する実態調査では、次のような結果が出ている。

 40~59歳で中等症以上のEDの人が各生活習慣病を占める割合は、糖尿病で33%、高血圧で22.8%、脂質異常症で18.6%、高尿酸血症(痛風含む)で22.1%。これらの人はすでに生活習慣病が判明しているわけだが、生活習慣病は相当進行しない限り、自覚症状がない。つまり、健康診断などを受けていなければ、生活習慣病があるかどうか、気付かない。そういった人たちを含めると、もっと割合は増えるかもしれない。

「EDがあるなら、同時に生活習慣病がないかも調べることをお勧めします。EDはバイアグラ、レビトラ、シアリスといったED治療薬である程度改善できますが、それゆえに、生活習慣病のチェックなしにED治療薬を服用していると、せっかくの生活習慣病早期発見のチャンスを逃してしまうかもしれません。そしてもうひとつ、EDの背景に生活習慣病があるなら、生活習慣病の治療によって、ED治療薬なし、あるいは少ない薬の量で、勃起が可能になるかもしれません」

 言い換えれば、生活習慣病の治療は放置してED治療薬を飲んでいても、生活習慣病が進行すれば、ED治療薬を飲んでも勃起できなくなるかもしれないのだ。

 さてED治療薬だが、これは間違った使い方でも効果を得られない。

「気をつけて欲しいのは、食事との関連。ED治療薬の有効成分は腸から吸収されるため、食事前に服用するのが鉄則です。効果を確実に得たいなら、食事の30分前に服用すべきです」

 3種類のED治療薬は、人それぞれ合う・合わないがある。使ってみないと分からないので、まずは3種類とも試すのがベター。いずれも服用して1~3時間くらいが効果が最も発揮されるタイミング。それを念頭に置いて、服用時間を決めるといい。

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