膀胱炎は女性に多く発症し、何度もトイレに行きたくなる(頻尿)、排尿してもすっきりした感じがしない(残尿感)、排尿した後に下腹部や陰部が痛い(排尿痛)といった症状が突然起きることが多い疾患です。
膀胱炎には抗菌薬の内服治療を行うことが多いのですが、抗菌薬にはいくつかのグループがあることをご存じでしょうか? 代表的なものとしてペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、ニューキノロン系などが挙げられます。各グループによって注意するポイントが異なるので、抗菌薬を処方された時、どの系統の抗菌薬なのかを医師や薬剤師に確認するとよいでしょう。
一般的に膀胱炎によく使われるのが「ニューキノロン系抗菌薬」です。このグループの抗菌薬は便秘薬である酸化マグネシウムと併用すると、効果が減弱してしまう特徴があります。便秘薬を服用している女性は多いので、薬の飲み合わせについてもしっかり確認しましょう。ほかにも、「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」と呼ばれる解熱鎮痛薬と併用することによってけいれんが起こりやすくなる場合があるので注意が必要です。
また、ニューキノロン系抗菌薬は使い勝手の良い薬として使われすぎたことから、膀胱炎の原因菌として最も多い大腸菌に対して効果が見られないケース(耐性菌)が増えてきています。そのため、膀胱炎の治療では、かつて使われていたグループの違う抗菌薬を処方されることがあります。
中でも、サルファ剤の配合剤である「ST合剤」にはいくつか特有の注意点があります。ST合剤は肝臓での薬物代謝に関わる作用があるため、一部の糖尿病薬、抗凝固薬、抗てんかん薬をはじめとした多くの薬と相互作用があります。ST合剤を併用すると、そうした服用中の薬が効きすぎて、低血糖や出血しやすくなるトラブルを起こしたりする場合があるのです。また、血液中のカリウム値が上がって高カリウム血症が表れる場合もあり、注意が必要です。
普段、自分が飲んでいる薬との飲み合わせが不安な方は、かかりつけの医療機関や薬剤師に相談してください。
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