コロナ第6波に備える最新知識

ワクチン接種後死亡1387件 心筋炎の警戒度「重大な副反応」に引き上げ

イスラエルで3回目のワクチン接種をする男性
イスラエルで3回目のワクチン接種をする男性(C)ロイター

 新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」の世界的な広がりで、改めて新型コロナワクチン接種の是非に関心が集まっている。オミクロン株は従来型に比べて免疫回避の能力が高いとされ、それに対するワクチンの有効性に疑問が投げかけられているからだ。

 日本ではこれから3回目接種や子供への接種が本格化する。だからこそ、ワクチンの副反応情報も詳しく知っておきたい。

 今月3日、厚生労働省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下専門部会)を開催。収集した副反応のデータを基に、接種と副反応との関連性を議論した。

 予防接種開始(2月17日)から11月14日までに新型コロナワクチン接種後の死亡疑いとして報告された事例は1368件(ファイザー社製1315件、モデルナ社製53件)。その後11月26日までに19件(ファイザー社製16件、モデルナ社製3件)の報告があった。つまり、予防接種開始以来11月26日までに1387件(ファイザー社製1331件、モデルナ社製56件)の死亡が報告されたことになる。

 ちなみに、前回の専門部会(10月24日)までに副反応疑いで死亡として報告された数は1325件(ファイザー社製1279件、モデルナ社製46件)。11月26日までに62件増えたことになる。この間、新型コロナ感染症が原因で亡くなったと報告された数は159件だった。

 11月14日までの死亡報告1368件のうち若年層の死亡として報告された件数は10代5件(ファイザー社製4件、モデルナ社製1件)、20代22件(同14件、同8件)、30代29件(同23件、同6件)だった。

 専門部会では11月14日までに報告された1368件の死亡とワクチン接種との関連についてα(ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの)、β(ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの)、γ(情報不足等によりワクチンと死亡の因果関係が評価できないもの)と評価している。その結果は以下の通り。

▼ファイザー社製(α=0件、β=7件、γ=1308件)
▼モデルナ社製(α=0件、β=1件、γ=52件)

■若年層でワクチン後心筋炎死亡が一般死亡を上回る

 ワクチン接種後の心筋炎死(ファイザー社製16人、モデルナ社製4人)についてのデータも公表されている。

 心筋炎関連事象に係るファイザー社製ワクチン接種後の100万人1日当たりの死亡報告の頻度と、人口動態統計などに基づく100万人1日当たりの死亡の頻度を比較したところ、観察期間30日の総数では0.003と0.004とワクチン接種後死亡報告頻度がわずかに低かったが、10~39歳では観察期間21日(0.005、0.001)、同30日(0.003、0.001)と3~5倍高かった。

 モデルナ社製では40~64歳の観察期間21日(0.007、0.003)、同30日(0.005、0.003)、10~39歳の観察期間21日(0.006、0.001)、同30日(0.004、0.001)と最大6倍高かった。

 結果、ファイザー社製とモデルナ社製のワクチン接種後、若い男性の心筋炎や心膜炎の症状について、通常の注意喚起から「重大な副反応」に警戒度を引き上げ、医師らに報告を義務付けることが専門部会で了承された。

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