コロナ第8波に備える最新知識

最大75万人「インフルエンザ」とのダブル感染対策で見える政府のホンネ

同時流行対策の検討会議に出席する岸田首相(左から2人目)/(C)共同通信社
同時流行対策の検討会議に出席する岸田首相(左から2人目)/(C)共同通信社

 政府は新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行で1日最大75万人の患者数もあるとの予測を公表、それに備えた対策を発表。

 65歳以上や基礎疾患のある人、妊婦、小学生以下の子供は従来通り発熱外来などを受診。それ以外の低リスクの人は事前購入したコロナの抗原検査キットで感染の有無を調べる。陽性の場合は原則自宅で療養し、自治体の「フォローアップセンター」に登録する。自宅で使う解熱剤などはあらかじめ用意しろ、という。つまりは重症化リスクの低い軽症者は医療機関には近づくな、というわけだ。

 これまでの過剰とも思える厳格な隔離待機とは百八十度違う政府の方針に戸惑う人も多いはずだ。公衆衛生に詳しい岩室紳也医師が言う。

「私はある意味、理にかなっていると思います。新型コロナはウイルスが弱毒化し、重症化を抑制するためのオミクロン株『BA.5』対応のワクチン接種も始まった。重症者用の治療薬や治療方法も確立している。政府は、新型コロナと共存するための社会づくりの手は打ったということでしょう。そのうえで新型コロナをインフルエンザ並みの扱いにしたいのだと思います」

 ここで言う新型コロナと共存する社会とは、感染と重症化リスクを抑えつつも、感染予防を徹底するあまり学校に行けない子供や仕事ができない大人をつくらないために、一人一人が何ができるかを考え続ける社会を指す。

 その背景として「新型コロナはインフルエンザと同じで消滅しない。ワクチンで重症化を抑えつつ、感染して獲得する免疫にも期待する」と政府は考えているのではないか、という。

「インフルエンザは毎年幅広い世代が感染します。しかし、これまで病院にかかるのは子供やお年寄りがほとんど。感染しても病院にかかる大人は多くはありませんでした。政府はその当時の一人一人の行動を思い出して欲しい、ということだと思います」

 問題はなぜ、いま政府はインフルエンザとのダブル感染の危険性に言及したか、だ。

「南半球の豪州でインフルエンザが流行したため、日本でも流行する可能性があるからです。怖いのは今回豪州で流行したインフルエンザは、いわゆる季節性のインフルエンザのように、事前にワクチンが用意できる既知のタイプ(亜型)ではない可能性があることです。つまり、政府は、新型コロナの第8波を恐れているように見えて、本当の懸念は第2の新型インフルエンザの流行であり、そのための感染対策が遅れていることを恐れているのではないでしょうか」

 個人でできる感染対策は飛沫をかけ合わない、エアロゾルは拡散、排気する、手洗いなど。3年間で学んだ習慣のさらなる徹底が必要になりそうだ。

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