コロナワクチン副反応救済 新たに5件の死亡一時金、9件の医療費を認定

4回目のワクチン接種をする女性
4回目のワクチン接種をする女性(C)共同通信社

 厚労省は12月12日に「第154回疾病・障害認定審査会感染・予防接種審査部会」を開催した。新型コロナワクチンによる健康被害救済について請求のあった20件審議し、14件を「ワクチン接種によって起きた可能性が否定できない」として救済を決めた。内訳は死亡一時金・葬祭料が5件、医療費・医療手当が9件だった。

 死亡一時金・葬祭料が認められた5件のうち男性は1人だけで、右視床出血と脳梗塞で亡くなった74歳(高血圧、心房細動、慢性心不全の持病・既往症あり)だった。女性4人のうち最も若かったのは小脳出血・くも膜下出血で死亡した26歳。持病並びに既往症はなかった。残り3人の死因と年齢、持病・既往症は、くも膜下出血・脳動脈瘤で亡くなった76歳(高血圧症、脳動脈瘤の持病・既往症あり)、急性循環不全の93歳(狭心症、慢性腎不全、高血圧症などあり)、急性冠不全95歳(狭心症、心不全、高血圧症あり)だった。

 また医療費・医療手当が認められた9人を世代別、性別にみると、30代(男性1人)、50代(女性2人)、60代(女性2人)、70代(男性2人、女性1人)、90代(女性1人)だった。請求の原因となった病名・障害名は、脳梗塞、くも膜下出血が多く、一過性左眼視野障害、右メニエール病再発疑い、両足趾の発赤・腫脹・疼痛もあった。

 今回の審議結果を含む新型コロナワクチンに関する累積申請受付数は5477件となり、うち認定件数は1242件、否認125件、保留24件となった。

 ちなみに同審査部会は否認理由を「①予防接種と疾病の因果関係について否定する明確な理由はないが、通常の医学的見地によれば否定する論拠がある②予防接種と疾病の因果関係について否定する明確な根拠がある③疾病の程度は通常起こりうる副反応の範囲内である④障害の程度は、政令に定められる障害に相当しない⑤因果関係について判断するための資料が不足しており、医学的判断が不可能である」と分類している。今回の否認の5件は①5件だった。

 なお、新型コロナワクチン接種がスタートして12月12日でおよそ1年10カ月が経過。この間、およそ3.58億回の接種が行われ、厚労省には医療機関からだけでも3.5万件(10月8日まで)の副反応と、1907件(10月28日まで)の接種後死亡件数が報告されている。

 同審査部会は認定にあたって、事例ごとに「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象」との考え方に基づき審査しているとしている。

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