だからあなたの頭痛は治らない

片頭痛持ちは「アイスクリーム頭痛」が起こりやすい

少しずつ口の中で溶かすように…
少しずつ口の中で溶かすように…

 食欲の秋がやってきます。何を食べてもおいしく感じる、楽しい季節の到来。とはいえ、頭痛体質の人は食事の際には気をつけていただきたいことがあります。何げなく口にした食べ物が、頭痛を誘発することがあるからです。今回はどのような食事が「頭が痛い」を招いてしまうかをお話ししましょう。

 まず、今年の猛暑で欠かせない存在だったであろうアイスクリーム。急いで一気に食べると、頭がキーンと痛むのは多くの人が経験しているでしょう。この「キーン」の原因は、頭部の神経をつかさどる三叉神経にあります。

 三叉神経は口蓋の粘膜にも広がっており、冷たい刺激を「痛い」として誤認して脳に伝えるためにこの症状が起きるとされています。アイスクリームやかき氷を食べることで生じる「アイスクリーム頭痛」は誰にでも起きるものですが、特に片頭痛体質の人は「痛み」を強く認識しやすい。

 なぜなら、三叉神経は脳血管内の血流量を血管の広がり具合から読み取るセンサーの役目も担っているから。片頭痛体質の人はこのセンサーが通常の人より敏感であるため、「アイスクリーム頭痛」が強く感じられたり、長引いたりしやすいんです。片頭痛体質の人がアイスなどを食べる際には一気にいかず、少しずつ口の中で溶かすようにして食べ進めるようにしてください。

 いまや日本の食卓にも欠かせない存在となったオリーブオイル。健康にいい食材としておなじみですが、片頭痛持ちの人にとっては注意が必要。

 オリーブオイルを取ると、血管が広がって血行促進につながります。が、片頭痛体質の人にとっては、脳血管を拡張させて、アイスと同じように周囲の三叉神経を刺激してしまうことに。少量ならいいのですが、オリーブオイル尽くしともいえるイタリアンのフルコースは要注意。「なんとなく頭痛の予感がするな」というときなどは、控えたほうがいいかもしれません。

 ほかにも血管を拡張させる食材をいくつか挙げましょう。赤ワイン、チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品、サラミやソーセージの保存料にも血管拡張物質が含まれています。繰り返しますが「絶対に食べてはダメ」なのではなく、一度に大量に食べたり、該当する食品を複数、同じタイミングで食べるのは、片頭痛体質の人にはお勧めできないということです。

 一日を通して食事の取り方にもちょっとしたコツがあります。脳血管は血糖値に非常に敏感です。血糖値が下がると脳血管は緩みがちになり、周囲の神経を刺激。この結果、片頭痛の発作が起こりやすくなります。

 ですから、朝食を食べずに、お昼に一気に食べ物をドカ食いするのは危険。片頭痛体質の人は、空腹時に血糖値を上げられるようにキャンディーを常備して、「お腹がすいた」もしくは「何となく頭が痛くなりそう」と思った際には、素早く口にできるようにしておきましょう。

清水俊彦

清水俊彦

東京女子医大脳神経外科客員教授。「汐留シティセンターセントラルクリニック」の頭痛外来には全国から患者が訪れる。

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