だからあなたの頭痛は治らない

女性に多い片頭痛…月経で貧血傾向になるとなぜ頭痛が起こるのか

片頭痛の悩みは圧倒的に女性が多い
片頭痛の悩みは圧倒的に女性が多い

 日本で片頭痛に悩まされている人は約840万人。その男女比は1対4で、圧倒的に女性が多いというのが実情です。

 私が診療している頭痛外来を訪れる患者さんも30~40代の女性が圧倒的に多いです。その中でつらい症状としてよく口にされるのが「月経時や月経前後の頭痛」。月経時や月経前後は女性ホルモンが変動するため、それが引き金となって頭痛が起こりやすい。また、月経時には貧血状態になる女性も多く、これが頭痛を悪化させる因子となるのです。

 月経時に貧血傾向に陥ると、なぜ頭痛が悪化するのか。貧血になると血液中の赤血球が減少してしまいます。そうなることで、脳血管や脳組織に運ばれる酸素量も少なくなる。酸素が低下すると脳血管が拡張して、脳の血管周囲にある三叉神経が刺激されて頭の痛みが悪化してしまうのです。

 月経時に貧血状態になることはなるべく回避したいので、普段から鉄分の多い食品を摂取するように心がけていただきたいとアドバイスをしています。たとえば、赤身の肉やレバー、カツオやマグロなどの魚類。また、野菜だとホウレンソウや小松菜などがおすすめです。

 上記したように「月経時に頭痛がある」という方、「月経前後に頭痛がある」方、「月経前後も月経中もずっと頭痛がある」という方もいらっしゃいます。月経前後の頭痛は排卵日に起きる頭痛と同じく、女性ホルモン(エストロゲン)の変動が原因であることが多いのです。

 この連載でも何度も出てきた神経伝達物質セロトニン。このセロトニンと女性ホルモンは構造が似ています。そのため、女性ホルモンが大きく変動する月経前に、脳血管内のセロトニンも同じく変動してしまう。片頭痛持ちの患者さんの脳は非常に敏感ですから、このセロトニンの変化に伴う脳血管の拡張を血管周囲のセンサーである三叉神経が読み取り、大脳にこの情報を伝え、頭痛が起きることに。これが月経前後の頭痛のメカニズムです。

 なお、近年は女性だけが楽しむものとは限りませんが、「アクセサリーが大好きで、常に何かしら身に着けている」という方もいるでしょう。けれどもボリュームあるネックレスやイヤリングなどは肩がこりやすく、この肩こりが頭痛を誘発することがあります。

 また、ギラギラと派手に光るものや、市松など目を引くような模様が入っているタイプのアクセサリーもあまりおすすめできません。光や模様が片頭痛持ちの人の敏感な脳を刺激することがあるからです。

 特に自分の目に入るネックレスや指輪などは、こういったタイプは避けたほうが無難でしょう。洋服の色にも注意が必要です。真っ赤や蛍光色など強く派手な色を着用すると、その色が目に入ることで脳を刺激し、頭痛を誘発することも。色だけではなく、派手な柄物の洋服にも同じことがいえます。

清水俊彦

清水俊彦

東京女子医大脳神経外科客員教授。「汐留シティセンターセントラルクリニック」の頭痛外来には全国から患者が訪れる。

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