ひどい腰痛も8割治る

子供の時にケガをして以来、腰に違和感…時に痛みが強く出る

日常的な動作の中で…
日常的な動作の中で…

「以前ぎっくり腰になりそうな感じがあって、別の病院でMRIを撮って診てもらったんですけど、そのときは何もなくて、でも右足の中指と薬指に少し違和感があるし、腰も重くてなんだかだるいんです」

 当院のWebサイトを見て来院されたのは、中部地方にお住まいの72歳の女性の患者さんでした。

 聞けば小学3年生の頃に、自宅の屋根から落ちた経験があり、それ以来ずっと今日まで、腰に潜在的な違和感を抱き続けてこられたとのこと。そしてその違和感は日常生活を送る中、または人生の節目にひょっこり顔を出し、時にはっきりとした痛みとして現れてきたといいます。

 顔を洗う時や洗髪する時、調理する時や床の物を拾う時、掃除機をかける時といった日常的な動作で、前かがみになるときは顕著で、特に子どもの参観日などで、長時間立ち続けるようなときなどは、症状がきつく出たといいます。

 印象深く記憶に残っているのは、3人目のお子さんの妊娠時。ぎっくり腰になり、しばらく立てなかったとか。最近では咳をすると腰にひびくときもあるということです。

 さっそく神経根症状誘発テストの一つ、ラセーグテストを行いました。下肢の上げ下げで座骨神経痛や椎間板ヘルニアがないかをチェックするのですが、どうやら右側に陽性反応が見受けられ、さらに詳しく診ていくと、数カ所に椎間板変性の所見が出ていました。そのため椎間板4カ所に特殊なゲルを注入するセルゲル法による日帰り施術を実施しました。

 術後1週間後には痛みの軽減を実感。安心して庭の草刈りをされたところ、夕方から痛みが出たため、ひょっとして骨に亀裂が入っているのではと心配され連絡をいただいたこともありました。それも1カ月もすれば痛みも和らぎ、右足薬指の違和感もなくなり、さらに寝返りが痛みなく出来るようになったといいます。

 さらに半年後には、ストレッチを毎日行えるほど回復し、ご本人からも「とても良くなっておりうれしい、もっと良くなって、好きな洋服を着て東京に遊びに行きたい」と報告が。頑張り過ぎない程度に運動を継続していただくように案内しました。

 1年後となる現在は、薬指と中指の付け根にあったしびれとまではいかないが、何かがまとわりついているような違和感はまだ残っているとのこと。特に疲労感が強い時は、足の付け根が痛くなるとの報告でした。

 それでもこちらに来られた当初よりは格段に改善されたご様子で、引き続き日常生活の中での運動を、継続していただくよう、お伝えしました。特にまだ下肢症状が現れているため、血行を良くして血流を改善する効果のある貧乏ゆすりを意識的に行うことをお勧めしました。

 千里の道も一歩から。長年付き合った腰痛の場合、あせらず少しずつ日常の生活の中で改善させていく、そんな腰痛治療もあるということを理解していただければと思います。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)

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