病気になりたくなければ怒りを手放せ

イライラしたら眠るに限る

 イライラした怒りは、ためすぎると一触即発で大爆発してしまうことがあり危険です。イライラは、物事や人が自分の期待通りに動いてくれない時に起こります。さらにこれといった解決策が浮かばない時に発生します。つまり「自分の思う方向へ行けず停滞している」というサインがイライラなのです。

 イライラを特に激しく感じる日は、何とかしようと頑張るより、まずはぐっすり眠ることをおすすめします。十分に眠るだけで感情が安定し、イライラをかなり解消することができます。

 4時間睡眠の寝不足グループと8時間睡眠のグループとを比較した結果、明らかに前者のグループが不安・緊張を感じやすく、感情の抑制が利かなくなるという研究報告もあります。

 睡眠は偉大な脳と体のメンテナンス法です。夜に7時間前後連続して眠ると、前日の脳の疲労がとれるので記憶力も作業能率もアップします。イライラが薄まるばかりか仕事能力もアップするため、停滞していた物事を打ち破るアイデアも湧きやすくなるのです。

 ちなみに、肥満度が低いのも、平均寿命が一番長いのも7時間前後の睡眠をとる人だそうです。睡眠をしっかりとるといいことだらけなのです。

 ただし、寝る前のお酒は控えめに。アルコールは基本的に睡眠の質を低下させるため、メンテナンス効果が下がってしまいます。晩酌は缶ビール2本程度(日本酒なら1合、ワインなら2杯)に抑え、寝る3時間前には飲み終えるのが良眠の秘訣です。

 お酒がないと眠れない人は医師に相談を。睡眠薬を正しく使用するほうがお酒で眠るよりはるかに健康的です。

▽奥田弘美(おくだ・ひろみ) 精神科医。日本医師会認定産業医。山口大学医学部卒。都内20カ所の企業でビジネスパーソンの心身のケアを行いながら、「銀座スキンクリニック」ではコーチング・カウンセリングも行う。著書多数。5月には新著「女医が教える 働く男の怒りと疲れをパワーに変える処方箋」(メディカルトリビューン)を発売。

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