ジワ~リ効く「温断食」で肥満&生活習慣病リスクを軽減

 体を温め適度な断食を取り入れるだけで、老化や生活習慣病を防ぐ方法がある―。この「温断食」を提唱するのは、イシハラクリニックの石原結實院長だ。手軽に実践できるのなら、健康が気になる中年族には朗報となる。効果と実践のコツを聞いた。

 「老化や体調不良の主な原因は、体の冷えと食べ過ぎ。体を温めながら適度な断食を行う《温断食》を実践すれば、血流や代謝機能、免疫力が高まり、老化や肥満や心筋梗塞などのリスクを軽減できます」

■男性機能の向上も

 断食は、過剰なエネルギー摂取を抑えるだけではなく、体温を上げ老廃物の排出を助ける効果もある。また、血流が活発化することで、男性機能の向上にもつながるという。

「私は30年間、断食道場を主宰しています。参加者の体温を測定してみると、断食中は体温が通常より0.3~0.5度高くなる。断食中以外にも体を温めれば、相乗効果が期待できます」

 4~5月は、寒すぎず暑すぎないため、断食をしても体力の消耗を心配せずに済む。“温断食”を始めるにはちょうどいい季節だ。

■食事と入浴で温める

 体を温めるために、まず食べ物と入浴方法を工夫する。

「ショウガは、辛味成分が血流を促進するため、体を温めてくれます。ニラ、ニンニク、ネギに含まれる硫化アリルにも、同様の効果があります。血栓予防に効果的な納豆も、血流促進に役立ちます」

 アルコールは日本酒なら1日2合、ビールなら大瓶2本程度の量であれば、血流を高める良薬だ。

「そして毎日の入浴。風呂の温度は、その時の体調との兼ね合いと“気分がいい”と感じる温度を選びましょう」
 肩凝りや腰痛がある人なら、42度以上の熱めの湯で入浴時間は5分以上10分以内。
 朝、なんとなくシャキッとしないと感じる人や胃潰瘍の人は、熱めの湯で朝入浴するといい。高血圧、胃腸不調、不眠症なら、38~41度のぬるめの湯で20~30分程度、体を温める。

 次に断食。こちらは朝食を抜いて1日2食にする“朝断食”から始める。

「ただし、脳や筋肉を動かすエネルギーは補給する必要があります。朝は朝食の代わりに、ニンジンとリンゴのジュースか、ハチミツとショウガを入れた温かい紅茶などを飲みましょう。量はコップ2~3杯程度です」

■朝断食からスタート

 朝断食を1~2週間続けて体調がよいと感じたら、次は週末だけの“半日断食”。
 朝食と昼食を抜き、代わりに前述のようなジュースを飲む。
 断食明けにあたる夕食は、胃腸に負担をかけないよう、そばか梅干しやシラスなどを添えた白米と味噌汁をよく噛んで食べる。

「半日断食が2~3回成功したら、同じように週末だけの“1日断食”に挑戦して下さい。3食をジュースにして、翌朝は白米と味噌汁を軽めに取りましょう」

 断食を続けるのは、やっていて体調がよいと感じる範囲内で。
「体調や体質が合う人なら、断食を始めればすぐ体調の向上を実感できます。しかしジュース等で糖分を取ってもだるさなど体調の悪化を感じたら、中断。朝断食や半日断食など、問題のない範囲での断食をお勧めします」

 体を温める工夫との二段構えなら、無理に本格的な断食を続けなくても効果は期待できる。

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