高血圧、糖尿病、がんに効果 「きくち体操」ってなんだ?

最高齢受講者は94歳
最高齢受講者は94歳/(C)日刊ゲンダイ

 菊池和子氏(80)が提唱する「きくち体操」は、人間の体の仕組みを理解したうえで、脳を使って動かす部分に意識を集中させ、自ら体を健康にしようとする動作である。高血圧や糖尿病、がんさえも克服した例が出ている“命の体操”とは――。

■動かす部分に意識を集中

 川崎教室を本部に、現在83クラス(一般クラス・クリニカルクラス・男性クラス)を展開する「きくち体操教室」は、受講者3000人以上、平均年齢64歳。最高齢は94歳というから驚きだ。高齢者の多さから察せられる通り、ダンスや筋トレに励む教室ではない。

「50年以上も前のこと。“体のどこをどう動かすと、どこにどういいのか”という素朴な疑問が出発点でした。
 体は手、足、内臓…、ほとんどの部分が筋肉によってできていて、大部分の筋肉は、脳からの指令によって動いています。ですから、例えば手の一本一本の指を動かすときも、脳とつなげながら動かすので、ゆっくり行います。そうすることによって筋肉が育ち、脳が活性化し、よりよく動かせるようになっていくのです。
 自分で動かして良くしていけるという思いが、気持ちを前向きにさせる原動力となります。動かす部分に意識を集中させ、自分の体に思いをかけて動かすことによって、良くなっていけるのです。実際、教室に20年、30年と通われている生徒さんには、高血圧や糖尿病、肺がんから回復された方もいらっしゃいます」

■基本は手足の指の運動

 さまざまなポイントがあるきくち体操の中で、最も基本的で大事な動きを2つ――。

▼手の指

 左右の手のひらを広げ、親指の先を小指の付け根に押し付ける。残りの指は、開き、伸ばそうと強く意識する。親指のあとは人さし指、中指、薬指、小指の順番で、1本ずつ曲げて親指の付け根に押し付け、残りの指は同様に、開き、伸ばそうと意識する。脳が活性化するのは、このとき。うまくできなくても、“思うこと”が大事。

▼足の指

 両膝を伸ばして床に座り、片足を折り曲げてもう一方の足の上に乗せ、足の裏を見る。手の指で足指の裏を1本ずつ、意識を向けながら丁寧に付け根から指先まで、ゆっくり押しながら伸ばす。1本ずつ、丸まっている指先を伸ばそうと意識しながら行うことが大事。

 脳を使って手足の指先を動かす体操は、日常、簡単にできるという。
「電車に乗ってつり革につかまっているときです。一本一本の指先に意識を集中させて、つり革を握ったり、指を伸ばしてみたり。足の指も同様。指先に力を入れて、足の裏全体で立ち、膝を伸ばす。意識を向けるだけで、日常生活の中で筋肉を育てることができますよ」

◇きくち・かずこ 1934年生まれ。日本女子体育短期大学卒業後、体育教師を経て「きくち体操」を創始。現在、神奈川や東京などの教室、カルチャースクールで指導にあたる。著書多数。最新刊は「100歳まで若く美しく! きくち体操DVDブック」(宝島社)。

関連記事