飲めばいいってもんじゃ…熱中症対策「正しい水の取り方」

正しい水分補給がポイント/(C)日刊ゲンダイ
正しい水分補給がポイント/(C)日刊ゲンダイ

 熱中症対策には十分な水分摂取が必要だ。しかし、持病によっては、特に水の取り方に気をつけなくてはならない。どういう人がそうなのか? 横浜創英大学の則岡孝子名誉教授に聞いた。

 まず、糖尿病だ。

「糖尿病の人はもともと喉が渇きやすいので、水分摂取は日頃から多めですが、間違った取り方をしている人が少なくありません」

 それが、スポーツドリンク、炭酸水、ジュースなどの取り過ぎだ。

「思っている以上に糖質が多い。水分摂取は水が基本です」

 糖尿病の人にとっては、水分摂取は食べ過ぎを抑え、血糖値上昇を防ぐという意味も持っている。そのためには、冷た過ぎない水を飲む。
 また、特に意識して飲みたいのが、夜寝る前と朝起きた時。コップ1杯の水を飲む。

「たいていの人は夕食のカロリーが最も高い。つまり、血糖値が一日の中で最も高く、血液がドロドロになっている可能性があります。それをサラサラにするのが、寝る前の水なのです。そして、朝の水は、寝ている間に失われた水分を補給するのが目的です」

 一日の水分摂取量も目安は2リットルだ。

■血液ドロドロ、尿酸値アップ

 高血圧も水分摂取に要注意。

「高血圧は水分摂取量が少ないと、血液の流れが悪くなって血液のドロドロ化が進みます。逆に水分摂取量が多いと、水分は血液中に含まれるので血液量も多くなり、血圧が上昇し、心臓に負担をかけます」

 一般的に摂取量の目安は2リットルでいいが、こまめに何度かに分けて飲む。外出前・中・後にそれぞれ1杯……といったようにだ。夏の外出は、運動をしたかと思うほどの発汗量がある。血液ドロドロは心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めるので、気をつけたい。

 痛風・高尿酸血症が持病の人は、今の時季、発作を起こしやすくなるので要注意。

「発汗で体内の水分量が減るので、尿酸値が上がりやすくなります。さらに、排泄する尿量が減少するので、尿酸の排出量も少なくなり、体内の尿酸値は一気に上がって痛風を起こしやすい」

 風呂上がりに、プリン体の多いビールをグビグビッ…。ビール好きにはたまらないが、痛風・高尿酸血症の人は避けるべきだ。
 糖尿病、高血圧、痛風・高尿酸血症はどれも、病状が進行すると、腎臓も悪くなる。

「慢性腎不全など腎臓病の人が過剰に水分を摂取すると、それを処理するために腎臓に負担がかかり、体内の老廃物を処理しきれなくなり、低ナトリウム血症や意識障害を起こすことがあります」

 腎機能低下がすでに見られている人は、必要な水分量について主治医の指示を仰ぐべきだが、自分でできることとしたら、毎日の体重測定だ。

「急激な体重変化は水分によるものと考えられます。減少していれば意識的に水分を摂取し、増加している場合は塩分を控えてください。塩分摂取過多は水分貯留を招きます」

 夏を無事に乗り切ろう。

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